暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga22-A真実への扉〜The last 4 steps〜
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“T.C.”がそのようなことを言って、地下保管室へと通じる床扉の方をチラリと見た。それにつられて私も今は遠くに見える床扉へと視線を移し、「うそ・・・」と目を見開いた。床扉がゆっくりと開いていき、保管室より出てきたのが「聖王オリヴィエ、覇王イングヴァルト・・・!?」と瓜二つの男女だったからだ。

「いったい、これはどういう・・・!?」

聖下の混乱も理解できる。おそらく偽者だとは思うけど、伝説に語られるオリヴィエ様やイングヴァルトがいきなり現れたら驚愕するのも仕方がない。しかも、聖下以外が開閉できないように封印処理されていた床扉が開いたのだからなおさら。

「オリヴィエ様・・・?」

「あ、はい。オリヴィエ・ぜーゲブレヒトです。私が歴代の聖王に交じって崇拝されているなんて、何やら気恥ずかしいものですね」

絵画などでしか見たことのなかったオリヴィエ様は頬を少し赤らめて微苦笑。私はオリヴィエ様も気になるけど、イングヴァルトの方も警戒。よくよく見てみれば佇まいが達人のそれ。偽者だとすればそれはそれで恐ろしい敵ということになる。

「保管室から出て来たけれど、いったい何をしていたの?」

「あたし達が答えずとも察してはいるはず。保管庫内にあった魔力保有物はもう回収済みであると。あとは・・・」

――スティールハンド――

「「ぁが・・・!?」」

“T.C.”が左足で床をトンッと軽く突いた瞬間、私と聖下は同時に体が反り返った。私たちの胸から突き出たのは半透明な人の腕のようなもので、手の平には光り輝くリンカーコアがあった。

「我らがT.C.の王は、少しでも多くの魔力を求めているの。あなた達2人の魔力量は魅力的だから、いただいていくわね」

リンカーコアの光量が次第に弱くなるのと同時に痛みが襲って来る。胸から生えている腕を攻撃していいのか、それともダメなのかも判らず、私は黙って魔力を奪われていく様を見ることしか出来なかった。“シュロス”を杖替わりにしても立っていられなくて、片膝を突き、両膝を突き、そして最後には床に倒れ伏してしまう。

(聖下・・・)

――影渡り(シュルプリーズ)――

私と違い聖下は倒れることなく、“キルシュヴァッサー”で“T.C.”に斬りかかろうとしたけど、“T.C.”の影からズズズと這い出てきたローブを着た10歳くらいの子どもが立ちはだかった。

「コゼット。こちらはもういいわ。計画通りにオリヴィエとクラウスを連れて移動を」

「判った。2人とも、わたしの側に来て」

「判りました」「判った」

――影渡り(シュルプリーズ)――

コゼットと呼ばれた少女(名前や声からして性別は女のはず)と共にオリヴィエ様とイングヴァルトが、コゼットの影の中へと沈んでいった。
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