第六十三話 お家に帰ってその十
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「いい気しないし相手もね」
「僕を嫌いますね」
「何で自分を嫌いな相手を好きになるのよ」
こんなことは有り得ないです、自分に悪意を向けてくる相手を好きになるなんてことはそれこそです。
「そうでしょ」
「そう言われるとそうですね」
「そう、だからね」
「人は嫌わないことですか」
「長池先輩にもよ」
「先輩絶対にあの人のことお話に出しますね」
「だって、凄くよくしてもらったのよ」
それならです。
「やっぱり阿波野君にも好きになってもらいたいですし」
「残酷な人でもですか」
「残酷じゃないわ、陰湿でもないし意地悪くもないわよ」
阿波野君が思っている様な人でないことはここでも言います。
「そこわかっておいてね」
「そうですか」
「今度よくお話して」
このことを強く言いました。
「先輩のことわかってね」
「初対面が悪くてもですね」
「というか阿波野君がお話聞いて一方的に嫌ってるじゃない」
先輩とじっくりお話しないうちにです。
「そんなことしてたら駄目だし」
「人を嫌うにもですか」
「阿波野君はいきなりだし」
しかも極端だからです。
「相手の人も嫌うから」
「損ですか」
「そう、阿波野君自身にとってもね。それに人を嫌うと」
阿波野君に今度はこうお話しました。
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