第六十三話 お家に帰ってその九
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「だから捨てるべきだけれど」
「僕が言ってる通り相当残酷でないとですよね」
「出来ないことって言われたら」
「否定出来ないですね、まあ僕は残酷っていうか残忍で」
「しかも卑劣で陰湿で執念深いっていうのね」
「だから一生許さないで絶対に仕返ししますよ」
「また言うけれどその考えはほこりやいんねんになるから」
ほこりも加えました。
「捨ててね」
「そうする様に努力することですね」
「そうよ、嫌いな相手は出来るだけ少なくして」
そうした相手がいることは仕方なくてもです。
「それでね」
「嫌い方もですね」
「抑えてね」
「そうしていくべきですね」
「そうしていってね、というかね」
ここで私はこうも思いました。
「私も嫌われたくないし」
「僕が先輩を、ですか」
「ええ、誰にもだけれどね」
「僕が先輩を嫌いになるとか有り得ないですよ」
「何言ってるのよ、人の心は変わるのよ」
私はそこは少し厳しく言いました。
「だからね」
「僕が先輩を、ですか」
「そうなる可能性もあるのよ、阿波野君みたいな嫌い方されたら」
嫌われる方としてはです。
「たまったものじゃないし」
「そんなに困りますか」
「そうなると思うわ、人って嫌われてるだけでいい気持ちしないから」
やっぱり好かれている方がいいです、嫌われるよりも。
「嫌わないことよ」
「人は出来る限りですね」
「そう、まして阿波野君みたいに徹底的だったら」
例え自分に非があってもです。
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