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戦国異伝供書
第百二十九話 灰からはぐれた者達へその九

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「そのうえでな」
「剣術もか」
「備えてな」
「そうしてか」
「生きるのじゃ、ただ備えさせるのではないしな」
「究めるんだな」
「左様、忍術も剣術もな」
 そのどちらもというのだ。
「そいうしてもらう」
「そういうことか」
「それでおいらは蛇を使う術か」
 今度は大蛇が言ってきた。
「それをか」
「そうじゃ、お主は蛇と相性がよいからな」
「大勢の蛇を使ってか」
「ことを為す様にする」
「そうなんだな」
「そしてお主もな」
 大蛇もとだ、居士は彼にさらに話した。
「忍術に蛇の術をな」
「究めてか」
「ことを為せ、よいな」
「それじゃあな」
「それでなんだけれど」
 萌は彼にどうかという顔で言ってきた。
「ヨハネスだけれど」
「あの者か」
「あの人の術って忍術と」
「実はあちらの剣術じゃ」
「それを教えてるの」
「実はわしは雲に乗って世界の何処でも行ける」
 これも妖術である、居士は雲を出してそれに乗って瞬時にあらゆる場所に行くことが出来るのである。
「それで南蛮にも行ってじゃ」
「あっちの剣術も身に着けたの」
「何でもナイトだのリッターだの言うな」
「ナイト?」
「南蛮の言葉じゃ、まあ侍じゃ」
「南蛮の侍なのね」
「ヨハネスは元々南蛮の生まれでな」
 そしてというのだ。
「この国にまで宗派の違いで逃げて来たという」
「宗派の違い?それ位でなのですか」
 命は居士の言葉に怪訝な顔になって問うた。
「本朝まで」
「あちらは同じ教えでも宗派が違うとな」
 居士は命に曇った顔で話した。
「どちらかが滅ぶまで殺し合うのじゃ」
「滅ぶまで、ですか」
「完全にな」
「そこまでするのですか」
「だからな」
 それ故にとだ、居士はさらに話した。
「南蛮からはるばるじゃ」
「本朝までですか」
「逃げる者もおってな」
「ヨハネスさんもですか」
「親と共に逃げて来たが」 
 それでもというのだ。
「親は本朝に来てすぐに病で死んだ」
「それで、ですか」
「お主達と同じみなしごになってな」
 そうしてというのだ。
「わしが引き取ったのじゃ」
「そうしたいきさつがあったのですね」
 鏡はここまで聞いて真剣な顔で言った。
「ヨハネスさんには」
「そしてわしはあの者にな」
「剣術をですか」
「そして馬術もな」
 これもというのだ。
「教えておるのじゃ」
「そうなのですね」
「忍の者は本来は馬はあまり使わぬが」
「ヨハネスさんはですね」
「ナイトやリッターという者は馬に乗るものだからのう」
 これも南蛮を見て知ったことだ。
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