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ホームレスと犬が掴んだ幸せ
第一章
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               ホームレスと犬が掴んだ幸せ
 この時ウィラーロボス救済センター虐待されている動物達を保護するセンターに勤務しているティア=トーレスは不安だった。ダークブラウンの髪の毛を短くしていて黒い目で日に焼けた肌の引き締まった体格の青年だ。背は一七九位だ。
「大丈夫ですか?」
「果たしてだよな」
「あの人戻って来るか」
「そのことは」
「あの、ホームレスですよね」
 ティアーは他のスタッフ達に問うた。
「飼い主さんは」
「リック=ブーマーさんだね」
「入院してるそうだけれど」
「何でも」
「そうらしいけれどね」
「はい、お家がなくて」
 それでというのだ。
「お仕事も」
「ホームレスだからね」
「流れ者だから」
「果たして戻って来るか」
「そのことがだね」
「僕は不安です」
 今度は黒と白のピットブル、雄の彼を見て言った。
「この子を迎えに来てくれるのか」
「戻って来ないかもね」 
 スタッフの一人が言ってきた。
「正直言って」
「やっぱりそう思われますか」
「入院先はわかっているけれど」
「はい、そのことは」
「この子が川に落ちて助けたんだ」
 スタッフはティアーに話した。
「自分が川に飛び込んでね」
「そこで感染症になってでしたね」
「今は入院しているよ」
「そうでしたね」
「ルイジアナも水も汚いから」
 そのせいでというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「感染症になって」
「入院していますか」
「そうしているよ、入院先はね」
「わかっていますね、ですが」
 それでもとだ、また言ったティアーだった。
「果たして戻ってくれるか」
「この子を見捨てて」
「お金のことは何とかなっても」
「どうだろうね、まあ僕達は待つしか出来ないよ」
「そうですか」
「彼を信じてね」
 そのピットブル、カルマと名付けられた彼を見て言った。そのうえで。 
 彼の飼い主でありリック、ホームレスで黒がかった金髪と髭の中年男性タトゥーのある彼を待つことにした。
 ティアーは正直リックは来ない可能性が高いと思っていた、だが。
 リックは来た、退院したその足でセンターに来て言ってきた。
「カルマを迎えに来たんですが」
「えっ、戻って来られたんですか」
 ティアーはその彼を見て驚きの声をあげた。
「迎えに」
「家族で友達ですから」
 だからだとだ、リックはティアーに答えた。
「来ました」
「だからですか」
「確かに俺はホームレスです」
 リックは自分で言った。
「そうです、ですが」
「カルマはですね」
「家族で友達ですから」
 またこう言った。
「ですから」
「迎えに来られたんですね」
「そうしました」
「そうでしたか」

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