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セラピー犬の癒し
第一章
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                セラピー犬の癒し
 オハイオ州の動物病院に一匹の白い毛で目が黒い雄の子猫がいた。名前をスカイウォーカーといった。
「小さいですね」
「生後三週間で体重は四五〇グラムないなんて」
「耳も聞こえてないですし」
「多指症もあります
「脳神経にもダメージがあって」
 そうした様々な障害があってというのだ。
「どうなるか」
「無事に生きられるか」
「心配ですね」
「この子は」
「あの、それでなんですが」
 セミロングの黒髪でやや恰幅のいい黒い目の女性が言ってきた。この病院のスタッフの一人キム=ダウニーである。
「主人と話したんですが」
「どうなんですか?」
「スカイウォーカーのことですね」
「そうですね」
「はい、うちで引き取って」
 そうしてというのだ。
「家族に迎えようと」
「そうですか」
「そうしたお話になっていますか」
「それならですね」
「これからは」
「はい、この子は家族です」
 その子猫を見て言った。
「そうしていいですね」
「お願いします」
「この子にも生きる権利があります」
「折角この世に生まれたんです」
「ですから」
「はい、それでは」
 キムはスカイウォーカーを引き取った、そして。
 家に迎えるとだった、夫のルークかなり太った金髪を短くした青い目の大柄な彼が言ってきた。職業は獣医である。
「その子がだな」
「ええ、スカイウォーカーよ」
「耳が聞こえなくてか」
「多指症でね」
 そしてというのだ。
「しかも脳神経が」
「そうか、それで聞いていた通りにな」
 夫は子猫を見ながら言った、子猫は妻の腕の中で震えている。
「生後三週間にしてはな」
「小さいわね」
「この子は普通だとな」
 普通に暮らしていると、というのだ。
「ちょっとな」
「生きていけないわね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「うちに連れて来たのは正解だ」
「私達動物病院に働いてるし」
「それにな」
 それに加えてというのだ。
 ここで二人で自分達と一緒にいる白っぽい毛のゴールデンレッドリバーを見た、優しい目をして夫の隣で座っている。
「モヒートもいるしな」
「そうね、この娘がね」
「優しいお母さんがいる」
「この娘はセラピー犬だし」
「人を癒してくれる犬だしな」
「それに子育てだってな」
「ベイダーをそうしてくれたから」
 二人の傍には黒猫もいる、見ればスカイウォーカーをじっと見ている。
「きっとね」
「この子もな」
「育ててくれるわ」
「そうだな」
 二人でこう話してだった。
 スカイウォーカーを家に迎え入れた、すると。
 モヒートはずっと彼の傍にいる様になった、そして。
「ワンワン」
「ニャ〜〜〜ン
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