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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
あたしの図書館には、二度嵐が来る。
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いだし、」
それに香子は晴明から陰陽術を教えて貰ったとも聞く。
陰陽師と言えば?と聞かれれば誰からも安倍晴明の名が出るのは無理もないだろう。
「知らない。ともかく私は安倍晴明が嫌い。だから私は殺すため、いつか来るだろう晴明を殺すため、敵を知るため本を借りる。」
「…。」
いつか来るだろうとは…どういうことか?
いや分かる。彼女は、いつか安倍晴明という陰陽師が"サーヴァント"として来るのを待っているんだ。
「いやでもさ、晴明は悪い人とかじゃ」
「晴 明 は 悪 い 人 な の ! ! !」
受付のテーブルをバンと叩いて彼女が叫んだ。
一瞬の静寂、あまりの出来事に凍りつくあたしと香子。
そして少しすると、彼女はにっこりと笑い、
「というわけで借りてくね?1週間後に返しに来るから、またね。葵ちゃん。」
晴明に関して話した時、彼女は今までの雰囲気からは想像できないくらい真面目な顔をしていたが、それを話し終えるとまたふわふわした雰囲気に戻る。
結局よく分からない彼女に翻弄され、あたしはただ帰っていく彼女をぼんやりと眺めることしか出来なかった。
「なんだったんだろう…あいつ。」
「嵐のような女…でしたね。」
確かに場を引っ掻き回すだけして帰ったから、嵐みたいなものだろう。
「にしても彼女の御札…どこかで…。」
「香子、なんか心当たりあるの?」
バタンと扉がしまり、一種の安心感を覚えたあたし。
そして香子だが、
「あのような御札…まさか…ですが彼女の手に令呪などはなかった…。」
「だからどうしたのさ。」
何やらあの御札にひどく覚えがあるみたいだけど
「い、いえ…なんでもありません。香子の思い過ごしですので…葵様はお気になさらず…。」
「…?」
そういい、顔は自室へと帰っていってしまう。
「香子?」
「すみません…少し考えます。」
「うん、分かった。でも夕方から神社の取材行くからねー!」
何か…悩んでいた、考えていた。
確かにあの森川 真誉という女は何処か掴めなくて怪しい女だ。
噂を聞き付けてやってきた?なんの噂?
なんだろう…図書館に用があって来たんじゃなく、あたしと香子に用があって来たようにも感じられた。
「…まぁ、いいか。」
考えすぎてもしょうがない。
さて、取材に行くまではまだ時間もあるし、二重人格についてもう少し調べることにしよう。
と、思った時である
「!!」
バァン!という音と共に入口のドアが豪快に蹴り開けられる。
今度はなんだ、もしかしたらこの前の葛城財団だろうか、と思いテーブルを飛び越え、入口まで駆けていく。
するとそこにいたのは財団でも悪そうな輩でもなく
「へぇ、ここが葵紫図書館…
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