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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
あたしの図書館には、二度嵐が来る。
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書館は閑散としてしまう。
まぁ世界がこんなんだし、お客さんが毎日ゾロゾロと来る訳でもない。
静かな図書館を受付から眺めながら、こうしてネットサーフィンをし片手間に和菓子を頂くのも悪くは無い。

式神メイド達も今充電中だ。
お客も多分夕方頃に数人来るくらいだろう。それまでは、静かな昼下がりを満喫させてもらうとする。
しかしその静寂は、突然破られた。

「ふーん…。ここが葵紫図書館かぁ…。」

間延びした、のんびりとした口調。
聞いていて心地の良いゆったりとした声が静かな図書館内に響いた。

「…?」

入口を覗き込んでみるとそこには人が。
自己主張の激しい胸から見てわかる通り、女性だ。
ゆるふわ系…とでも言えばいいんだろうか?ともかくそのやって来た女性は、そういったカテゴリにあてはまる見た目だった。

「あ、こんにちは〜。」
「どうも…。」

あたしの視線に気付くとこちらに振り向き、ゆるりと手を振る。

「…?」

しかし、ここであるものに目がいった。
彼女が片手に大事そうに抱き抱えているもの、人形…だろうか。
古ぼけていて、所々ほつれており…なんだっけあのキャラクター…どこかで見たことあるような…。

「気になる?」
「うわっ!?」

気がつけば目の前にその人形がいた。
驚いて後ずさると、面白かったのか人形を持っていた女性ははははと笑った。

「これね、間桐桜ちゃん。知ってる?Fateの。」
「まとう…さくら…あ、あぁ…。」

古ぼけた人形の名前はそう、間桐桜だ。
とはいっても等身大とかフィギュアとかそういったものではなく、デフォルメされた可愛らしいものだ。
しかしボロボロのせいか、どことなく不気味にも見えるその人形だが…
というよりも、このお客さんは何者…?

「あ、ごめん。桜ちゃんよりも私の紹介が先だったね。」

お人形を小脇に抱え、自分の胸に手を当てて彼女は自己紹介を始める。

「私、森川 真誉(もりかわ まほろ)。陰陽師!」
「お、陰陽師?」
「そ。噂に聞いてこの葵紫図書館が気になってやって来たんだ。あなたは?」
「あたし?」

名乗られたのなら名乗り返さなきゃいけない。
咳払いをし、あたしもまた自分の名前を明かした。

「あたしは源 葵。ここで図書館館長をやらせてもらってる。」
「へー。葵、葵ちゃんって言うんだぁ!へ〜。」

基本呼ばれる時は苗字か呼び捨てだった為、ちゃん付けされるのはどことなく恥ずかしい。

「ところで森川さん…さっき陰陽師って…。」
「そう。私は陰陽師!こうして日本中を回って、陰陽術で悪いやつをやっつけているんだ!」

そういい、彼女は人形の背中にあるファスナーを開き、中から御札を取り出して見せ
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