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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
あたしの図書館には、二度嵐が来る。
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うすうと寝息を立て眠り始めた。

「…子供みたいだ。」

自分のワガママが通らず、泣き、そして疲れて寝る。
子供のような思考回路でそれに似合わない残虐な思考も併せ持つ。
子供らしくするな、大人らしくしなさいと幼少から言われ続けたあたしの抑圧されたモノがこれだとしたら、まぁ納得はする。
そして心の奥底から蘇ってくる、あの時菫に言われた言葉、

「あたしが、あたしとしてもらったものはまだない…。」

彼女は名前を貰った。存在する理由を貰った、武器も、自分用のものを貰った。
あたしは、何かもらえただろうか?
香子は、あたしに何かくれただろうか?
分からない。もらっているのか、もらっていないのかも。
そうやって考えると、心が寂しくなって、欲しくなる。
香子が、たまらなく欲しくなる。

「いいよな、アンタは色んなモノもらってさ。正直言って羨ましいよ。」

その場にしゃがみこみ、眠ってしまった菫の頬を優しく触ると、突然上から眩しい光が降り注ぐ。

「これは…もうすぐ起きろって事なんだろうか…?」

光とともに、どこか遠くからアラームのなる音も聞こえてきた。
なるほど。やはり起きろということらしい。

「それじゃあ菫。またね。」

初めて会ったもう1人のあたし。
またいつか話せればいいなと思い、あたしは深層意識から現実へと浮上した。


?


「二重人格…か。」
「菫様のことですか?葵様。」

利用客のいないお昼過ぎの時間。
あたしは二重人格に関する本を読みながら、おやつのチョコミント大福をいただいていた。
和菓子喫茶、『ダーク・ラウンズ』から取り寄せたものだ。

「そ。でもいくら調べても原因とかキッカケ分かんないし、治し方も分からないまま。」
「ですが、そのままでも宜しいのでは?」
「は?」

分裂したあたしと菫。
なんとかしなければならないの思う中、香子がそう口にした。

「それってどういう意味?」
「あ、いえ…菫様は菫様でとても可愛げがあって…。」
「あたしは可愛げがないってこと?」
「そ、そうではありません!葵様にはまた違った良さがあります!言うなればそうです。葵様は"かっこいい担当"と言いますか…。」
「へぇ…そう。」

失言だったと気付き慌てて言い訳を並べていく香子だが、あたしは別に気にしてはいない。
今のところあいつは無害みたいだし、香子が制御してくれてるみたいだからとりあえず菫を消すみたいなことはしない。多分。

「流行りのサバッターでも一応調べてみるか…。」

そうしてあたしは、調べ物に専念する。
一応今、図書館館長としてしっかり勤務はしているし、図書館自体も開館している。
何せこの時間、お昼からめっきりお客さんは来なくなり、図
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