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お爺さん猫の優しさ
第二章

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「まだ子猫だけれどおトイレもちゃんと出来るから」
「そのことを教えなくてもいいか」
「そう、けれど問題は」
「ああ、ラントがどうかだな」
「歳はかなり離れてるけれど」
 それでもというのだ。
「喧嘩しなかったらいいわね」
「そうだな」
 夫婦でこのことは心配した、だが。
 その心配は杞憂だった、何と。
 ラントはいつも二匹の傍にいてだった、そうして。
 寄り添って身体を舐めて何かと世話をしてだった。
 一緒に飲んで食べて寝た、間違っても意地悪やいじめはせずいつも優しくしていた。
 その彼を見てだ、妻は夫に話した。
「心配しなくてよかったわね」
「そうだな」
 夫もその通りだと頷いた。
「別に」
「ラントは凄く優しい子で」
「ずっとドリーとサムの傍にいてな」
「育ててくれてるわね」
「ああ」
 実際にとだ、夫も答えた。
「そうだな」
「いい子だったけれど」
「まさかこんなにとはな」
「まるで父親ね」
「お爺さんだけれどな」
「そうね、いいお爺さん猫ね」
「祖父さんと孫だな」 
 夫は優しい笑顔でこの言葉を出した。
「本当に」
「そうよね、じゃあこれからもね」
「ああ、ラントとドリーそれにサムはな」
「一緒にいて」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「仲良く幸せにな」
「ここで暮らしてもらいましょう」
「そうだな、ラントはずっと苦労してきたけれどな」
「こんなにいい子だし」
「ドリーもサムも懐いてるし」
「これからもね」
 是非にとだ、妻は夫に話した。
「幸せにね」
「ここにいてもらおうな」
「そうしてもらいましょう」
 夫婦で話した、その目の前では。
 ラントは今もドリーとサムの相手をしていた。穏やかな顔で二匹と一緒に遊んでいる。そうしてそのうえで遊んでいた。夫婦はそんな彼等を笑顔で見守った。


お爺さん猫の優しさ   完


                     2021・3・25
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