第二章
[8]前話
「あの二匹もな」
「里親になってもらうなら」
「一緒だ」
「そうなりますね」
「絶対にな」
「ええ、それでそのこともですね」
「しっかりとな」
「宣伝しますね」
「ああ、そうしないとな」
「離れ離れになったら」
「どっちも寂しくて仕方ないからな」
やはり一緒にいる二匹を見て話した、それでこの二匹もだった。
事情をサイトに詳しく書いたうえで里親を募集した、流石にそうそう同じ条件で貰ってくれる人はいないと思われたが。
無事にだ、この二匹もだった。
「一緒にって人が出てくれましたね」
「そうだな」
先輩はホセの言葉に応えた。
「今回もな」
「よかったですね」
「ああ、それじゃあな」
「あの二匹もですね」
「一緒にな」
「ここから巣立ってもらいますか」
「そうしてもらおうな」
こう話した、そして実際にだった。
ボニーもクライドも貰われていった、ホセは彼等にも声をかけた。
「じゃああっちでも二匹一緒でな」
「ワン」
「キャンキャン」
二匹は尻尾を振って一緒に新しい飼い主の家に入った、そしてその家でも二匹一緒に仲良く暮らした。その報告を受けて。
ホセは今回も笑顔で先輩に話した。
「犬も友情がありますね」
「犬にも心があるからな」
だからだとだ、先輩は答えた。
「だからな」
「友情もありますね」
「そうだ、人間と同じだ」
「そうですね、ただ」
「ただ。どうした？」
「人間よりも上かも知れないですね」
その友情はというのだ。
「そうかも知れないですね」
「そうだな、人間は裏切る奴もいるけれどな」
「犬はあの四匹を見ていると」
「違うからな」
「だから人間の方が上かも知れないですね」
「そうだな」
「ええ、人間も負けていられないですね」
ホセはこうも言った。
「あいつ等を見ているとそう思えますね」
「全くだな」
先輩も頷いた、そうしてだった。
二人は犬達の世話を続けた、そこにいる犬達は皆清らかな目をしていた。ホセも先輩もその彼等を見てこれからも頑張ろうと決意した。
一緒でないと駄目 完
２０２１・３・２５
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