第九話 決意を述べてその六
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「どのコーヒーにされますか?」
「はい。じゃあ」
ウェイトレスの言葉を受けてだ。向かい側に座る千春に問うたのだった。
「何がいいかな」
「そうね。じゃあ」
千春はメニューを見ながらだ。こう答えたのだった。
「ウィンナーコーヒーにするよ」
「ウィンナーだね」
「このお店がそんな感じだから」
他ならぬオーストリア調だからだというのだ。
「だからそれにするよ」
「わかったよ。ウィンナーだね」
「うん、それね」
「じゃあ僕もね」
千春がそれならだとだ。希望も言った。こうしてだった。
希望はそのメイド服のウェイトレスにだ。こう注文したのだった。
「ウィンナー二つお願いします」
「畏まりました」
「それとホットケーキも二つ」
「ホットケーキはどういったものを」
「ウィンナーですから」
コーヒーがだ。それならばだというのだ。
「クリームをたっぷり使った」
「クリームホットですね」
「はい、それをお願いします」
ホットケーキの上にそれこそウィンナーコーヒーの様に乗せただ。そのホットケーキをだというのだ。これは千春に聞かずに自分で決めたのである。
「それを二つ」
「はい、わかりました」
ウェイトレスは希望の言葉に頷いてオーダーを描きだ。こうしてだ。
注文は終わった。ウェイトレスは希望にオーダーを確認してだ。それから下がった。
そのウェイトレスの背中を目で見ながらだ。希望は千春に問うた。
「ホットケーキはそれでいいよね」
「うん、いいよ」
千春は屈託のない声で希望に答えた。
「希望が頼んだからね」
「僕が決めたからいいんだ」
「コーヒーは千春に気を使ってくれたのよね」
「うん」
千春の問いにだ。希望はそのまま頷いて答えた。
「そうだよ。どうかなって思って」
「有り難う。けれどね」
希望の言葉を受け取ってからだ。それからだった。
「千春は希望は決めてくれたことなら何でもいいから」
「だからなんだ」
「そう。聞かなくてもよかったよ」
そうだったというのだ。コーヒーのことも。
「希望の決めたことなら何でもいいから」
「僕の決めたことなら」
「千春希望のことが好きだから」
そうである理由はここにあった。
「だからいいの」
「そう言ってくれるんだ」
「いつも言ってる通りね」
「有り難う。そこまで僕のことを好きでいてくれて」
心からだ。そのことを感謝する言葉だった。
「本当に」
「希望も千春のこと好きよね」
「うん」
この問いはまさにその通りだった。すぐに頷いて返せる言葉だった。
「そうだよ」
「そうよね。それならね」
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