チノへのプレゼント
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「ねえ! クリスマスの新メニューなんだけど!」
ココアが突然言い出した。
彼女は可奈美たちの前に躍り出て、両手を後ろに回す。
「何? 何か思いついたの?」
可奈美の質問に、ココアはふんすと鼻息を荒げた。
「うちはピザを焼こうよ!」
カッコつけてクルクル回す。
そのまま生地が吹っ飛ぶ。
ガラスが割れる。
チノに怒られる。
見事な起承転結が可奈美の脳裏に浮かんだ。
「いや、ココアちゃん? 絶対ラビットハウスの備品壊しちゃうよ!」
「そうかな?」
「そうだよ! もう少し、喫茶店っぽいものを考えよう!」
「街の国際バリスタ弁護士を目指す者としては、もう少しインパクトがあるものが欲しいんだけどなあ」
「インパクトの方向性をしっかりとした方に向けて!」
「それより皆は、クリスマスの予定あるの?」
ココアが笑顔で尋ねてきた。
毎年ならば誰かと剣の立ち合いでも頼むところだが、あいにく今年は見滝原から出られないという都合上、ラビットハウスで働く他の選択肢はない。
可奈美は「ココアちゃんと同じだよ」と答えて、他の三人の方を向いた。
真司は真っ先に頬をかいた。
「俺はその日バイトだな。遅れた分、差し入れ持っていくって、ハルトにも伝えておいてくれ」
「そうなんだ。じゃあ、ハルトさんにも言っておくね!」
「私は……」
響は「うーん」と考えて、
「コウスケさんは大学の研究があるみたいだし、私はとにかくご飯が食べたいな。でも実のところは彼氏が欲しい、そんなお年頃なのです」
「私も予定はないよ? でも強いて言えばうどんが食べたいかな。あと、うどんを食べて、それからうどんも食べたい!」
「うどんどれだけ食べるつもり!?」
思わず可奈美は友奈へツッコミを入れた。
友奈はえへへと笑い、そんな二人にココアが提案した。
「なら、一緒にクリスマスパーティしようよ!」
「クリスマスパーティ? ラビットハウスでやるの?」
「やるよ!」
友奈の質問にココアはそう答えた。
「私も友達を誘って、盛大にやろうと思っているんだ! 友奈ちゃんと響ちゃんもおいでよ!」
「おお! パーティー! いっぱい食べたい!」
「私も! クリスマスといったらやっぱりうどんだよね!」
「いや、年越しまで待ってよ!」
友奈の底抜けのうどん好きに、可奈美は閉口した。
そうして、全員でクリスマスマーケットを散策し始める。だがすぐに。
「おい真司いいいいいいいい!」
背後から、真司の名前を呼ぶ声があった。真司は飛び上がり、後ろを振り向く。
「ゲッ! 店長!」
「店長?」
可奈美が疑問符を付けた相手は、まだ真司とほとんど同い年の女性だった。
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