四十六 拘束
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るはずもない。
ましてや、かつて波の国で桃地再不斬と対峙したカカシが使われた手だとも。
そもそも此処はどこだ、と彼は思考を巡らせる。
『暁』の不死身の男と交戦中に、突如乱入してきた存在に腹部を蹴られてからの記憶が定かではない。
未だ朦朧とする頭を地面に伏せ、双眸を閉ざしながら周囲を窺う。
「それに近々、兎鍋にしようと思っていたので」
「そ、そうか」
若干引き攣った声音で受け答えしていた相手が振り返る。
起きている素振りを微塵も見せなかったにもかかわらず、得体の知れないフードの誰かはハッキリと確信めいた声で告げた。
「起きたか」
視線を感じる。意識が戻っていると悟っている相手の不意を突こうと、伏せていた身体をガバリと勢いよく起こす。
戦闘態勢を取ろうとするが、そこで初めて相手の容姿と周囲の光景を目の当たりにした彼は、あんぐりと口を開いた。
視線の先には、先ほど飛段との戦闘中に割って入ってきた件の人物。
フードを目深に被った人間の周囲には、チカチカと眩い光が瞬いている。
それは鏡だった。
自分の姿が映っている鏡が幾重にも連なる鏡の世界。
あまりに多くの鏡が光を反射し、虹色に輝く。
その中心で、鏡でつくらせた椅子のようなモノに腰掛けていたフードの男が、此方へ顔だけを向けていた。
そのフードの人物に従うように控えている少年に、見覚えがある。
かつて木ノ葉にうちはイタチ・干柿鬼鮫が侵入してきた際、鬼鮫と戦う再不斬の邪魔はさせまいと四方を鏡で閉じ込めた、一見美少女と見間違うかのような儚い少年だ。
今は青年となっているが、波の国でカカシが対峙したという白という忍び。
「…此処は何処だ…俺をどうするつもりだ…?」
至極当然の疑問を投げると、その美しい青年の傍ら、片膝をあげ、軽く椅子に腰かけているフードの人物が値踏みするかのような視線を向けてきた。
フードの陰から垣間見える双眸に、思わずひゅっと息を呑む。
「そうだな…」
白がつくった鏡の世界で、顎に人差し指を添える男の横顔が幾重にも鏡に映り込む。
目深に被るフードの陰から蒼の瞳を鋭く覗かせて、ナルトは攫ってきた相手を見遣った。
「暫く、貴方の身柄を拘束させてもらうよ」
飛段との交戦中、腹部を蹴りつけ、濃霧の中へ入ったタイミングで白の鏡に吸い込ませる。
囚われの身となった猿飛アスマへ、何の悪びれもなく。
決定事項とばかりに、「それに、」とナルトは言い放った。
「三代目火影が目覚めた時、息子の貴方がいないと悲しむだろう?」
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