四十六 拘束
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はずがない、とサイは確信していた。
「ボクの兄が現在、サスケくんと行動を共にしている」
「あなたの…お兄さん?」
「シン、と言えばわかるかな?」
大蛇丸の許で同じく仕えていた相手の名前を耳にして、サクラは軽く目を見開く。
胡乱な目つきでサイを睨みながらも、彼女は──春野サクラは無言で話の続きを促した。
話を聞く体勢になったのを見て取って、サイは声を潜める。
「ボクの役割はダンゾウ様の情報を兄に流すことだ。君も協力してくれないか?」
「…ダンゾウを裏切る気?主なんでしょ?」
「サスケくんの一族が滅んだ理由が、ダンゾウ様にあると言ってもかい?」
一層声を潜めて告げられたサイの言葉に、サクラは今度こそ動揺した。
視線を彷徨わせ、それでも小声で反論する。
「……うちは一族を滅亡させたのは、うちはイタチでしょ…」
「そのイタチに命令した相手がいるとしたら?」
「まさか、」
うちは一族の仇。
それがダンゾウだというのなら…。
世間一般では、サスケの兄であるイタチがうちは一族を滅ぼしたとされている。
その事実がまったくの嘘だったのならば、サスケがもっとも憎むべき相手は実の兄ではない。
そしてその真実を知ったサスケがどう行動するのか容易に想像はつく。
サスケを追い駆けて抜け忍となり、大蛇丸の下についた。
そしてアジトに潜入してきた木ノ葉の忍び─ナル・いの・シカマル・ヤマトによって、再び木ノ葉の里へ連れ戻され、そして今に至るサクラは、今も昔もある人物の為だけに動いている。
本心からの笑顔とは思えないサイを、サクラは胡散臭げに見やる。
しかし、大蛇丸の下に共に仕えていたシンを知っている限り、サイの言い分は信憑性があった。
ダンゾウ打倒の計画を企てるサイとシン。その詳しい話を聞こうと、サクラは身を乗り出す。
想い人の為に長く伸ばした桜色の髪がさらりと揺れた。
「それが…サスケくんの為になるのなら」
チカチカ、と眩い光を瞼に感じる。
意識が浮上するなり、腹部に鈍痛が奔った。
苦悶の表情を浮かべたかったが、傍らで聞こえてくる会話に身体を強張らせる。
未だに意識を失っているふりをしながら、周囲と現状を把握する為、彼は耳を注意深く澄ませた。
「すまないな…兎を一羽、死なせてしまった」
「いえ、元々囮用でしたし」
兎、とは何かの隠語か?と顔を伏せながら、考える。
兎というのが正真正銘の動物の兎を指しているとは、内心狼狽する彼に気づけ
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