四十六 拘束
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ふ、と口許に笑みを湛えて眼を閉ざす。
双眸を閉ざしたまま、再不斬は手を挙げた。
「まぁいいぜ。てめぇとは久しぶりだしな、カカシ」
降参のポーズを取る。
しかしその顔には笑みが浮かんでいた。苦笑と言ってもいい。
その眼に宿る本心を押し隠して、霧隠れの鬼人は嗤った。
「『暁』が火ノ国に潜入した」
深く深く、地下の淀んだ世界。
木ノ葉の暗部養成部門【根】の創設者であり、『忍の闇』の代名詞的存在である男の声に従い、数多の忍び達が頭を垂らす。
重苦しい空気が漂う中、一際、重圧のある声が響いた。
「既に五代目火影が手を打っている…が、奴らでは生ぬるい」
志村ダンゾウの言葉を耳にして、幾人かの『根』の忍びの伏せた顔に戸惑いの色が僅かに生まれる。
「せっかく向こうからお出でなすったのだ。捕らえて『暁』の情報を聞き出すのが木ノ葉の里の為にもなる」
足どころか全身をどっぷり血生臭い世界に浸けていようと、里を想う気持ちは三代目火影と同じ。
里の為に、と動いていた猿飛ヒルゼンと、やり方は違えど、里を守っているダンゾウは、己の手駒達に命令を下す。
五代目火影とは別に、暁を追うように命令したダンゾウに従い、忍び達が地を蹴った。
地下から抜け、地上へと向かう。
影に紛れ、火ノ国に潜入した侵入者を五代目火影の配下の忍びとは別ルートで捜す。
その内のひとりはしかし、暁よりも目の前の見慣れぬくノ一に目を留めた。
同じ『根』に所属する者だとはわかるものの、最近入ってきたばかりの新参者を引き留める。
「君が、先日連れ返されてきた抜け忍か」
「……あなた、誰よ」
桜色の髪。三つ編みにした長い髪を翻して、振り返る。
率直すぎる物言いに、不機嫌そうに睨む彼女に怯まず、サイはにこにこと薄っぺらい笑顔を顔に貼り付けた。
「ボクはサイ。以前、サスケくんには世話になってね」
五代目火影就任を巡り、ダンゾウと綱手が争っていた当時。
サイはダンゾウの命令でサスケに付きまとっていた。狙いは、サスケが持つ署名状。
同期のほとんどが名門の嫡子故に、彼らの親である名族から署名を募っていたサスケから、署名状を奪うようにとサイは命令されたのだ。
もっともダンゾウの目論見は失敗。五代目火影は綱手に決定した。
だが、あの時、サスケと接触するにあたって彼と仲良くしようとサイは努めてきた。
その頃を思い出して、サイは眼を細める。
視線の先には、サスケを慕い、里抜けまで仕出かしたくノ一だ。
サスケという名前に食いつかない
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