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そっくりの黒猫が来て
第二章
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「自分はピュルス大王、ハンニバルの生まれ変わりだって」
「アレクンサンドロス大王もよね」
「確かアキレウスの生まれ変わりと言ってたな」
「そしてこの子も」
「そうかもな」
「この子にしますか?」
 近所の人も夫婦に言ってきた。
「それなら」
「はい、何かです」
「この子以外にないと思います」
「それじゃあです」
「この子にします」
 夫婦はその猫を選んだ、残る二匹もそれぞれ近所の猫好きの一家に貰われていって家族を得た。そしてその黒猫も。
 フォレスト家に入った、夫婦だけでなく家の犬達、二匹の兄弟のコリーのカラマとソラマ、灰色猫のフラワーも茶色と白の毛のモルモットのジェリーもだった。
 その猫を見て驚きの声をあげた。
「ワン?」
「ワフッ!?」
「ニャッ?」
「チュッ!?」
 皆サイモンの生まれ変わりかと思った、そして。 
 仕草を見ると尚更だった。
「仕草までな」
「そのままサイモンね」
「これはマリーも見たら驚くぞ」
「学校から帰ってね」
「この子に会ったらな」
「きっとそうなるわ」
 二人で話した、そして実際にだった。
 マリーは学校から帰るとだった。
 その猫を見てすぐに驚いて言った。
「サイモン!?小さいけれど」
「本当にそっくりだな」
「大きさは違うけれどね」 
 夫婦で娘に話した。
「それでも」
「生まれ変わりみたいだな」
「仕草もそっくりだし」
 マリーが見てもそうだった。
「本当にね」
「そうだな」
「この子はサイモンよね」
「まるで生まれ変わりだな」
「本当にね」
「サイモンが帰って来たのね」 
 マリーはこう思った。
「死んだのに」
「また戻って来てくれたんだな」
「私達のところに」
「それじゃあな」
「またこの子と一緒にいましょう」
 夫婦で娘に笑顔で話した。
「名前はエラにしたけれど」
「前の様に仲良くしていこうな」
「ええ、また宜しくね」
 マリーはエラと名付けられた猫に笑顔で挨拶をした。
「これからはエラって呼ぶけれどね」
「ニャア」
 エラも鳴いて応えた、その鳴き声もサイモンそっくりだった。
 エラはすぐにというかまるでかつてのサイモンの様に家の中で暮らした、一家はそんな彼といつも一緒にいた。
 その中でも特にマリーはエラを可愛がっていて両親に笑顔で話した。
「これからもね」
「一緒だな」
「ずっとそうよね」
「うん、戻って来てくれたから」
 エラを抱き締めながら両親に話した。
「だからね」
「そうだな、生まれ変わってまでして来てくれたんだ」
「それならね」
「ずっと一緒よ」
 エラを見つつ言った、見れば。
 抱かれている彼はサイモンの様に喉を鳴らしている、それはまことに前と同じであった。

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