第一章
[2]次話
可愛い猫とオポッサム
この時アメリカケンタッキー州のマクローリン夫妻はその光景に戸惑っていた。それで妻のチェルシーが夫のロバートに言った。
「こんなこともあるのね」
「そうだな」
夫もこう返した、二人共髪はブロンドである。夫の目は青で妻の目は黒だ。二人共背は高く引き締まった体格をしている。仕事は農家であり広い畑を持っている。
「こんなこともな」
「オポッサムがいるのはね」
妻は家にいる灰色のオポッサムを見つつ話した。
「私も知っていてね」
「時々見るけれど」
「まさかね」
「家に入ってきてな」
「マリアのご飯食べるなんて」
「こんなことは考えなかったな」
「ええ」
見ればオポッサムは猫のご飯を食べている、そして。
その横で一家の愛猫であるマリア、茶色の長い毛を持っていてつぶらな黒い瞳を持つ彼女がだった。
二人を必死の目で見ている、そうして鳴いてきた。
「ニャア」
「マリアとしてはな」
「困ったことよね」
「自分のご飯取られてるからな」
「これはね」
どうにもというのだ。
「困るのも当然ね」
「ああ、しかしな」
「それでもよね」
「ああ、こんな光景は滅多にない」
見れば二人共それぞれのスマートフォンで動画を撮っている、そうして言うのだった。
「それでな」
「動画に撮っておかないとね」
「そうしないとな」
「マリアには可哀想だけれど」
「ニャア」
マリアは二人に訴える様にして鳴いた、妻はそのマリアを見て夫に言った。
「私のご飯がって言ってるわね」
「早く何とかしてってな」
「けれどね」
「ちょっと今はな」
自分達の方を必死に見て鳴いている猫をよそにだった。
猫だけでなくオポッサムも撮っていた、オポッサムは一心不乱に食べている。
それでだ、マリアは遂にだった。
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