クリスマスマーケット
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響は挨拶をして、真司の隣に座る。
「えっと……確か……そう! ライダー!」
「正解だけど! そういう名前をここでは言うなよ! えっと……ランサー!」
「ライダー? ランサー? 何々? かっこいい渾名だね?」
ココアが変な誤解をする前に誤魔化さなければと、可奈美は二人に言った。
「いや二人とも名前覚えてないって素直に言ってよ!」
ココアの前で聖杯戦争のワードをポンポン口にする二人に、可奈美は大声を上げた。
真司と響はそれぞれ改めて自己紹介を終えたあと、ココアは響も抱き寄せようとしたが、友奈が防ぐ。
「だめだよ、響ちゃんも私の妹なんだから……!」
「え? 私の方が年上だよね?」
「そんなことないよ……! 可愛い女の子は、みんな私の妹なんだから……!」
「まさかの女の子みんな妹宣言!? あ、きつねうどん大盛ください!」
響は店員に注文して、全員に向き直る。
「それにしても、ここのマーケットすごいね! いくらでも食べられちゃう!」
響は笑顔で言った。見れば彼女の手元には、無数の食べ終わった容器や紙が入ったごみ袋が握られていた。
「響ちゃん、すごい沢山食べたんだね」
「いやあ、昨日コウスケさんと遺跡近くに行ったとき、バングレイに会ってさあ。それからまたお腹空いて……」
「バングレイ?」
「わーっ! わーっ!」
遠慮なく最近現れた宇宙人の名前を口にする響の言葉を誤魔化そうと、可奈美は大声を上げる。
だが、今度はココアを挟んで隣の友奈も言った。
「ああ、それってこの前の博物館に現れた人でしょ? なんでも、博物館の展示品を狙っていたっていう」
「友奈ちゃん!?」
「博物館って、あの見滝原博物館のこと? もしかして、この前泥棒が入ったのって、あれ犯人宇宙人なの?」
ココアが興味を持ってしまった。可奈美は頭を抱えるが、もう遅い。
響がそれに対して言及することが、もう死刑宣告のように聞こえた。
「そうそう。あの時私とハルトさんもいたんだけど、それがもう色々びっくり!」
「それでそれで?」
もうだめだ、と可奈美は諦めかけた。
聖杯戦争のことを知れば、ココアも何かしらの形で首を突っ込んだり、巻き込まれるかもしれない。すでに知り合ったときには巻き込まれていた鹿目まどかはともかく、他の人を巻き込むことだけはしたくなかった。
一か八か。可奈美は、ココアの興味を反らすために、机を叩いた。
「ねえ。響ちゃんもそろそろ食べ終わりそうだし、折角だから、みんなでマーケットを回らない?」
すると、全員が目を輝かせて、「いいね!」と声を合わせた。
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