クリスマスマーケット
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チノがいた。彼女は手を止めて、可奈美へ向き直る。
「可奈美さん。今日も結局あまりお客さんはいませんし、可奈美さんにはクリスマスの準備をお願いします」
可奈美は頷いて、「あれ? ハルトさんとココアちゃんは?」と口にした。
チノはジト目で返答する。
「ココアさんは今日も寝坊助です。ハルトさんは、今日はお休みで、あの……多田コウスケさんに連れられて山に行きました」
「多田コウスケ……ああ、あの人か」
アナザーウィザード事件の時に協力してもらった男の顔を思い浮かべ、可奈美は頷く。
「分かった。じゃ、今日は飾りつけの続きをすればいいんだね?」
「はい。出来ればココアさんも一緒にやっていただきたかったのですが、今日はまだお寝坊さんですから」
「寝坊しちゃってごめん!」
チノが言い終える前に、寝坊助さんが現れた。
ココアが、自分の制服に近い色合いの制服を着た友奈を見て。
「私、今度こそリストラだ!」
「またこのデジャヴ!」
クリスマスの準備ももうほとんど終わったということもあって、可奈美は市場で材料の注文に訪れていた。
「おおっ! クリスマスマーケットだ!」
後ろにいるココアが、元気にはしゃぎだす。
ココアの言う通り、クリスマスシーズンが近いこともあり、この場所では、数多くの人々がそれぞれのお店のための仕入れを行っている。
大量の仕入れに大量の購入。大きな需要と供給により、一年間で最も大きな経済効果を生み出しそうな市場で、可奈美とココアはラビットハウスへの手配を終えていた。
「今年もいろいろあったね」
ココアが笑顔で言った。
「私は四月にこの街に来て、チノちゃんリゼちゃん、シャロちゃんに千夜ちゃんと出会って、半年たって、可奈美ちゃんやハルトさんが来て。本当、沢山の出会いがある素敵な一年だったよ!」
「あ、そっか。可奈美ちゃん、見滝原に来てからまだ半年なんだっけ。街のあちこち知ってたから、すっかり長いのかと思っちゃったよ」
可奈美は舌を巻いた。
ココアはえへへ、と頭を掻き、
「昔木組みの町に来た時、本当に素敵だなって思ったの。それで、この町で留学に来たんだよ」
「おお……!」
可奈美は感嘆の声を上げた。
「それじゃあ、今年のクリスマスは、私達全員が初めてここで過ごすクリスマスなんだね! クリスマス会、楽しみだね!」
「そうなの! 早くクリスマスにならないかな……? シャロちゃんと千夜ちゃんも来るから!」
「私も、友奈ちゃんを参加させたいなあ……あ、友奈ちゃんは?」
一緒にこの市場に来ていた可奈美のサーヴァントがいつの間にかいなくなっている。探してみると、友奈の声が行き交う人々の頭上を通ってきた。
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