最終章:無限の可能性
第286話「“可能性”は繋がれる」
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緋雪を切り裂く。
さらに、欠片は集束し、極光を放つための球へと変わる。
障壁を利用したカウンター技を伏せていたのだ。
「奇遇だな。僕もだ」
「ッ……!」
だが、優輝はそれを予想していた。
集束した“闇”に対抗するように、優輝の背後で“意志”が集束する。
攻撃に参加せずに“意志”を溜めていた神夜による一撃だ。
「くっ……!」
「撃ち貫け!!」
二つの極光がぶつかり合い、衝撃波を撒き散らす。
優輝達は即座に飛び退いたため、その衝撃波にはあまり巻き込まれずにいた。
「ッ!!」
「ここ……ッ!」
極光同士が相殺された直後を狙い、奏と優輝が仕掛けた。
後詰めに帝が砲撃を、緋雪が大剣を繰り出す。
奏と優輝に意識を向けさせ、そこを帝と緋雪が叩く算段だ。
帝と緋雪の攻撃を何とかしなければ、防御は突破され、かと言ってそちらを対処すれば薄くなった障壁を奏と優輝が突破する。
最低でも隙を晒す。そんな状況を作り出した。
「甘いですよッ!!」
「ぐっ……!?」
「っぁ……!」
だが、帝と緋雪の攻撃は“闇”の斬撃に相殺された。
それだけに留まらず、奏と優輝にもカウンターを食らわし、吹き飛ばしていた。
「っ……」
しかし、イリスも無傷ではない。
奏と優輝の刃が僅かながらにも命中していた。
「(あの状況下で、一切の動揺もなく最低限の被害と最大限の打撃を成立させるとは……本当に、天才肌だな……!)」
同じような状況下ならば、多少なりとも動揺などが現れる。
なかったとしても、そこから最善の結果を掴むのは至難の業だ。
それを、イリスは冷静に対処した。
「(……以前と見違えたな。イリス)」
優輝は心の中でイリスを称賛する。
かつての戦いでは、イリスはここまで戦闘技術は高くなかった。
それが、今では複数人を相手にしてここまでの戦闘技術を見せている。
その事実が、イリスの成長を表している。
それを、優輝は素直に称賛したのだ。
「―――――」
「(“可能性”は繋がれる。……それは、お前も例外じゃないぞ、イリス)」
イリスは、そんな優輝を見て目を見開く。
敵同士だと言うのに、こちらは叩き潰そうとしているというのに。
それでも笑みを浮かべる優輝に、戦慄していた。
かくして、“可能性”は繋がれ、戦いも決着に近づいていく。
勝利、敗北、いくつもの結末の“可能性”の中で、優輝はただ一つの“可能性”へと、着実に手を進めていった。
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