外伝〜彷徨える霊姫〜 前篇
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引き返してください。」
「わざわざ警告されていながら、申し訳ないが俺達も退くことはできないし、例え俺達が退いても、ヴァイスハイト陛下達――――――クロスベル帝国はこの”僧院”で起こった”異変”を解決する為の人達を派遣する事になるだろう。」
少女の警告に対してリィンが静かな表情で反論すると少女はじっとリィンを見つめ、悲しそうに瞳を閉じる。再び瞼を開いた時には、全身から魔力が漏れ出ていた。
「………警告はしました。それでも歩みを止めないと言うのならば、強硬手段に出るまで……あなたさまの、お名前は。」
「リィン・シュバルツァーだ。君の名は?」
「私は『アンリエット』――――――死者に寄り添い、その魂を慰める力無き霊体です……リィン、その名は忘れません。あなたさまが死者へと変じた際は、その身に寄り添いましょう。」
そう告げた少女――――――アンリエットはふっと姿を消した。
「消えた……まるで霧が消えるかのようだったが……」
「恐らく転位術かと。消え際に魔力も感じました。」
「……少なくてもこの近辺には反応はありません。――――――とはいっても、クラウ=ソラスのセンサーに”幽霊”のような非現実的な存在が反応するかどうかも不明ですが……」
「――――――?」
アンリエットが消えた後周囲を見回しているクルトの疑問にエリゼが答え、アルティナは報告した後不安そうな表情を浮かべ、クラウ=ソラスは謎の機械音を出して機体を傾けていた。
「……逃げられたか。去り際に敵意を感じた。次に相まみえる時は攻撃してくるだろうな。」
「ええ。それに先程の死霊――――――アンリエットの口ぶりから察するに、恐らく彼女がこの地に彷徨う多くの死霊達を纏めている者なのでしょうね。」
ベアトリースとルシエルはそれぞれ目を細めてアンリエットが消えた場所を睨み
「ふふ、それにしても『その身に寄り添いましょう』だなんて、幽霊にすらも一目惚れさせるなんて、さすがはリィン少将ですわ♪」
「クク、言われてみればそうだな。俺達の事はほとんど眼中になかったみたいだからな、あのアンリエットとかいう死霊は。」
「まあ、彼女がリィンさんに話しかけたのは私達を率いているリーダーらしき人物がリィンさんであると目星を付けたからかもしれませんが……」
ミュゼとフォルデはからかいの表情でリィンを見つめ、二人の話を聞いたステラは苦笑していた。
「………とりあえず、今回のこの僧院で起こった”異変”を解決する為には先程の死霊をどうにかする必要がある事だけはわかったな。」
「ええ。ただ、アンリエットは通常の死霊と違って理性もある上、わざわざ警告までしてくれたのですから、できれば手荒な事はしたくないの
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