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英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
外伝〜彷徨える霊姫〜 前篇
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る貴方とは機会があれば話したいとは思っていたけど……残念ながら今はその時ではないようね。」

「ああ。――――――いつまで、姿を消しているつもりだ。」

リィンに見つめられたサティアは微笑んだ後僧院へと視線を向け、サティアの言葉に頷いたセリカが目を細めてサティアと同じ方向に視線を向けて声をかけると、観念したのか黒衣の少女が突如リィン達の目の前に現れた!



「……引き返して、ください。」

「あれ?もしかして貴女………」

少女がリィン達を見回して忠告している中少女を見て何かに気づいたリタは目を丸くした。

「引き返して、ください。ここには何もない。特に――――――人間が足を踏み入れるのは見過ごせないのです。」

「”人間が足を踏み入れるのは見過ごせない”、ね。」

「フム、まるで自分は”人間”ではないような口ぶりだが……彼女も異種族の類なのだろうか?」

「いいえ。あの者は”生者ですらありません”。」

「な、なななななななっ!?せ、”生者ですらない”ということはまさか、目の前の娘は……!」

「幽霊……の類なのでしょうか?」

少女の忠告を聞いたエンネアは真剣な表情を浮かべ、アイネスの疑問に答えたルシエルは厳しい表情で少女を見つめ、ルシエルの答えを聞いたデュバリィが慌てている中、エリスは不安そうな表情で推測を口にした。



「そうだ。――――――とはいっても、”死霊”にしては随分と珍しいがな。」

「リタ……みたいな……死霊………滅多に……いない……」

「そうね。”理性がある死霊”なんてリタ以外に見たことがないわ。」

「……俺達はその建物に起こった異変を解決する為にここに派遣されたから、理由もなく引き返すことはできないんだが……よければ、俺達に忠告する理由を説明してくれないか?」

エリスの推測に答えたベアトリースは興味ありげな表情で少女を見つめ、静かな表情で呟いたナベリウスの言葉に頷いたロカが目を丸くして少女を見つめている中、リィンは少女に問いかけた。



「ここは『怨恨の谷』と呼ばれた地から何者かの転移術によって転移させられた魂が彷徨う寂しい場所です。人間が期待するような財宝や薬草の類は何もありません。あなたさま達のような、人間が進んではいけない。どうか引き返してください。」

「生憎だがそれはできない。ここからそう遠くない場所に鉱山町――――――人里もあるのだから、この地を納める人達にとってはこの”僧院”で起こった”異変”をそのままにしておくことはできないんだ。」

「……ここは生きる事を諦めていない死者が、その霊魂が彷徨う場所……生者を妬ましく思い、その肉体を手に入れようともがく憐れな魂が集っている……可哀そうな場所。ですから、人間の方達は
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