暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第72話:魔法使いの居る潜伏
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をご飯にザバ―ッと掛けちゃった訳デスよ!」

 切歌は元気よく話し掛けているが。調は全くの無反応だ。だが切歌はそれでもお構いなしに話し掛け続ける。

「絶対おかしいじゃないデスか。そしたらデスよ……?」

 尚も話し掛ける切歌だったが、流石に黙り込まれたままだったので話題を切り替えた。

「……まだ、アイツの事を……デスか?」

 調が考えているのは、一週間前に交戦したシンフォギア装者、響のことであった。

『話せば分かり合えるよッ! 戦う必要なんか――――』

 今思い出しても苛立ちが募る。何も知らないクセして、合えるだなんだと知った風に言う彼女が人類を救った英雄であるなど、認める訳にはいかなかった。

 が、直後に思い出さずにいられないのは颯人が変身したウィザードの言葉。

『君は響ちゃんを甘ちゃんの偽善者って言いたいみたいだけど、君も響ちゃんの事全然知らないでしょ』

 言われてみれば、確かに調達は響達の事を情報程度にしか知らなかった。そんな状態で響を一方的に偽善者だなんだと断定して認めずにいるのは、傲慢以外の何物でもないのかもしれない。

 何だか調は、急に自分が小さい人間になったような気がして訳も分からず無性に腹が立った。その苛立ちに任せて、力任せに壁を殴り付ける。

「〜〜〜〜ッ!」

 頭には響の考えを否定したい言葉が色々浮かぶのに、颯人に言われた言葉がそれを思い留まらせ歯を食いしばらせる。

 颯人の言葉が真実である可能性は何処にもない。情報を信じるなら彼が口から出まかせを言っただけで、自分達を惑わす為に適当な事を言った可能性もあった。
 だがそれでも、彼の言葉は調に一方的な否定ではなく一歩踏み止まって考えるという選択肢を作り出してしまった。
 結果、調は己の中に二つの相反する考えを抱く事になってしまい、大きな葛藤に悩まされる事になってしまっていた。

「調……」

 切歌はそんな調の手を取ると、拳を優しく開かせ自分の手を握らせた。握られた切歌の手に、調はもう片方の自分の手を重ねる。

 そこに一つの足音が近付いた。マリアだ。2人と同じくシャワーを浴びようと、髪を下ろしたマリアがシャワー室に入ってきたのだ。

「……調が悩む気持ちも分かるわ。誰が正しくて誰が正しくないかなんて、分かる訳がない。それでも私達は、私達の正義と宜しくやっていくしかない。迷って振り返ったりする時間なんてもう、残されていないのだから……」
「マリア……」

 3人がシャワーを浴びているシャワールームのすぐ外では、1人の魔法使いがまるで見張りの様に腕組をして佇んでいた。金色の魔法使い・ソーサラーだ。
 彼は何かを考えるように壁に背を預け、腕組をして俯いている。

 と、突然ソーサラーが
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