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おっちょこちょいのかよちゃん
134 大将か、それとも臆病者か
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は高校生だった。その二人が喧嘩をしている。
「あいつ、杉山じゃねえか」
「もう一人のあの高校生は確かすみ子の兄ちゃんの友達だったよな?確か文化祭や名古屋での戦いでも協力してた・・・」
「うん・・・。でも、どうして・・・?」
 すみ子は不思議がった。

 かよ子とブー太郎は羽根に乗って高台の方へ上がっていた。
「あ、あそこだブー!」
 ブー太郎は杉山と三河口が喧嘩している様子を発見した。かよ子が確認した時には杉山は三河口の蹴りで転ばされていた所だった。
「す、杉山君、お兄ちゃん・・・!!」

 転ばされた杉山に三河口はこれ以上は手も足も出さなかった。
「そこまでだ。杉山君。明らかに君の方がはるかに有利だというのにこの様だ。なんで、君は俺の目の前で震えた?大将ならそうならずもっと俺にダメージを与えている筈だ。それから君には迷いが出ている。雷の石を捨てた事から自分が異世界で何ができるか解らなくなったからだろ!?」
「う、うるせえな・・・」
「じゃあ、何で異世界に行くか行かないかの質問に答えない?行かないって答えるのなら単なる弱虫だが、それ以前に答えないなんてよ・・・」
 三河口は一瞬深呼吸をした。かよ子とブー太郎も端からその話を聞く。
(お兄ちゃん・・・!?杉山君に一体何を言うつもりなの・・・!?)
「てめえは『大将』のひとかけらでも何でもねえよ!りえちゃんの言う通り、ただの『臆病者』だ!!」
 かよ子はこんな冷酷な三河口の姿を見るのは珍しかった。いや、以前、蘇我氏の一族が清水に訪れて杖が奪われた時も彼は非常に激怒していた。つまり、これは単なる喧嘩ではないという事なのか・・・。
「しかし、俺だって異世界の道具なしで向こうへ行く身だ。異能の能力(ちから)を全て持っていたとしても道具を持たない俺は最弱の部類かもしれん。だが、きっと俺にも何かできる事があるかもしれないし、杉山君にだって君にしかできない事がある筈だ。君にしかできない方法で元の日常を取り戻す術を探し、大野君と仲直りして、離れ離れになってもずっと友達でいると誓って送り出すんだ。異世界に行くか行かないかは俺は聞かない。必ず来い!それだけだ」
 三河口は脱いだ学ランを拾って着直す。その時、すみ子に山口、川村、そしてヤス太郎が、上空からかよ子とブー太郎が現れた。
「杉山君、お兄ちゃん・・・!!」
「皆、見てたのか・・・。兎に角、やるだけの事はやったよ」
「でも、杉山君と喧嘩なんて・・・」
「そう見えても仕方ない。だが、こうでもしないと解ってくれなかったかもしれないからな・・・。俺は帰らせてもらうよ」
 三河口は高台を降りて行った。
「杉山君、大丈夫かブー?」
「ああ、お前ら、わりいな・・・。俺は行くよ。行くしかねえんだろ?異世界に・・・」
「うん・・・」

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