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リュカ伝の外伝
天使とラブソングを……?(第14幕)
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少しだけ……本当に少しだけ残念な気持ちを抱えながら国王執務室の扉を開けた。

すると少し離れた所から爽やかな歌声が聞こえてくる。
思わず視線を向けると、そこには上機嫌のリュリュさんが何処かに書類を届ける為に居た。
最近仕事が終わり家に帰ると、大好きなパパが居る事に機嫌が頗る良い様だ。

嫌な気分を吹き飛ばし、恋心を抱かせる歌声……
ずっと見ていたくなる美しさ……
変態的なファザコンだと解ってても、恋を諦められない男共の気持ちも解る。

思わず見とれ呆然と立ち尽くしてると、突然背後から何者かによる強い衝撃を受け、国王執務室前の向かいの廊下に激突した。
“何者か”と言ったが、誰だか判ってる……俺の背後に居たのは一人だけ。

「くっ……クソ親父」

ウルフSIDE END



(グランバニア城・国王執務室)
リュカSIDE

アイリーンが来る少し早い時間……
ウルフが俺の前で黙って立っている。
持って来た書類に俺がサインするのを待ってるんだ。

だが顔には少しの苛立ちが見える。
別にサインが遅くて苛ついてる訳じゃない。
国政に関わる書類だから、ちゃんと読んでサインしなきゃならないからね。

苛つきの原因は、思いがけない所からのライバル登場の所為だろう。
ライバルと言っても恋のライバルや仕事のライバルじゃない。
“リュカさんの実質全てにおいてのナンバー2”の座のライバルだ。

俺は神格化されるのが嫌い……と言う事を此奴は理解してる。
だから神と崇めたり、王様と平伏したりせず言いたい事を言い人間として接している……つもりだ、本人的に。

幼馴染みで姉的立ち位置で嫁のビアンカでさえ、言わずに胸にしまってる事があるのに、此奴は『言いたい事は言って人間扱いするんだ』と言う思いが前に出すぎて限度というモノが無くなってしまった。俺的には逆より全然良いんだけどね。

そんな“片腕”的存在だったのに、自分が関与できない音楽に関して重用される存在が生まれてしまったのだ。そう、アイリーンだ!
彼女はまさに音楽面でのウルフと言っていいほどの天才だ。

此奴の経歴が拙かったのかもしれない。
と言うのも、ウルフは同年代の人間と学びあった事が無い。
この国に来て直ぐに学校に通わせれば良かったのかもしれないが、直ぐに秘書官として登用してしまった。

そして済し崩し的に国家のナンバー2になってしまった。
俺もプライベート面を此奴に任せる事もあったし、自惚れ……とは違うかもしれないが、追随を許さぬ存在と思い込んでしまった感もある。

とは言え今更如何する事も出来ない。
もう個人の問題として突き放すのもアリだと思う……気がする……多分。
つーか俺は今それどころじゃないんだ!

サンタローズの
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