天使とラブソングを……?(第14幕)
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(グランバニア城・国王執務室)
ウルフSIDE
俺の目の前では、執務机に座ってるリュカさんが、俺の持って来た書類に目を通しサインをしている。
基本的にこの国の国務は宰相である俺だけで決済できるのだが、それでもトップの決済が必要な事柄は存在する。
その為、基本一日に一度リュカさんの下へ出向いて決済を貰っている。
何時もならもう少し遅い時間に決済を貰ってたのだが、例のサンタローズの件で夕方前には出かけてしまうので、早めに出向く事になった。
因みに、そのサンタローズの件の進捗状況は知らされていない。建前上国家は関わってないので、俺が知っておく必要性が皆無なのだ。如何しても困った場合、相談はされるかもしれないと考えていたが、こと音楽関係の事になると俺は無力だし、助っ人を雇ったみたいなので、俺に情報は入ってこない。
助っ人の盗作女を雇ってから丁度一週間が経ち、あの女も顔パスでリュカさんの執務室まで入ってこれる様になった。
そこでとある噂が城内で流布し始めた。
あの女が国王陛下の新たな愛人ではとの流言だ。
否定しにくい……前科がありすぎるから。
因みに、こんな噂を広めた者は特定してあるので、近々地方へと飛ばす予定だ。ふふふっ、何所が良いかな?
噂を広めただけで左遷なんて酷すぎると思ってる?
この噂が真実だったら、俺もこんな事はしない……はず。
今回に関して言えば、この噂が完全なるデマでしかないから強権乱舞したくなるのだよ。
別に不機嫌でこんな事をしてるんじゃないぞ。
確かに最近イライラしている。
あの盗作女がリュカさんに迷惑を掛けてるんじゃないかと……イライラはしてる。
なんせリュカさんに最大限貢献してるのは俺だからな。
国政は宰相として尽力してるし、家庭問題のゴタゴタも俺だから協力出来ているんだ。
あの女には無理だ!
確かに俺には音楽関係の事柄は無力だ。
だけどリュカさんには音楽関係での俺の力など必要ない。
リュカさんは全部一人で解決できるからね!
そう……だから本来はあの女なんか必要じゃ無いんだ。
所謂助手程度の存在。
見た目がちょっとだけ良いから、傍に置いてるだけ……俺とは立場が全然違うのさ!
「ふぅ……」
如何やら考え事をしてる間にリュカさんは書類にサインし終わった様だ。
リュカさんは一息吐いて書類の束を机でトントンと纏め俺に手渡す。
やはり今回の件で俺に何かを頼むつもりは無いらしく、一切の指示は無い。
いや……内政干渉にならない様に、宰相の俺には手を出させないだけだ。
きっとそうに違いない!
軽く会釈をしてリュカさんに背を向ける。
そしてそのまま出口へ向かう。
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