身を寄せ合って
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せられるだけ…だから盗むしか無いんだ!………そしてアタシしかそれが出来ない……見て、みんなを…」
アルル達は見回す事が出来ない…もう分かっているから…
フィービー以外、動ける者が居ないのだ…
大人は皆、五体不満足だ…
両手足を切断されてる男や、右目を頬の肉からえぐられてる妊婦…
心の壊れてしまった少女…
やせ細り、ガイコツと見分けのつかない老人に、マリーよりも幼い子供達…
「………アルル、有り金を全部くれ!」
何時になく真面目な表情のリュカが、断れないほどの気迫で金を要求する。
「カンダタ、一緒に来い!他のみんなは此処で怪我人の看病を…」
アルルが出した財布を掴むと、カンダタと共に外へと出て行くリュカ。
皆、リュカが何をしに行ったのかは分からない…だが、この状況を無視出来ないのは彼(リュカ)だけではない。
ビアンカが荷物の中から薬や包帯を取りだし、怪我人達の看病を始めると、ハツキが魔法で傷を癒し出す。
そしてウルフも憶えたてのベホイミを駆使すると、ティミー・アルルもそれに習う。
回復魔法が使えない者は、濡れたタオルで彼等の身体を拭うなどし、少しでも状態改善に努めた。
1時間もしない内に、両手に大量の食料を抱えリュカとカンダタが帰ってきた。
「どうしたんだよ、それ!?」
フィービーが大量の食料に驚いている。
「買ってきた。ビアンカ、軽くで良いから料理してくれる?」
ビアンカはリュカの言葉に頷くと、荷物の中から携帯燃料を取りだし、それに火を灯す。
そして食材を調理し、暖かな食事を作り出す。
その間リュカも、調理の必要のない食材を使い、パンに挟んでサンドイッチなどを作り、子供や怪我人達に配り渡す。
「か、買ってきたって…何処で!?この国には碌に食料なんてないだろう!」
「僕はルーラを使えるからね!アリアハンに行ってきた。その後でロマリアとイシスにも…」
唖然とするフィービーの手を掴み、手繰り寄せ服を脱がすリュカ…
流石、女性の服を脱がす事には慣れている様で、然したる抵抗も出来ないまま裸にされるフィービー…
しかし直ぐにリュカが買ってきた新しい服を着せられる。
「ちょ……勝手にレディーを裸にして、今度は服を無理矢理着せるって………何なんだよアンタ!」
「うるさい、その服臭いんだよ!何時までも着てるなよ!」
フィービーのクレームを一蹴すると、脱がした服を丸めて焚き火の中へ放り投げる。
「あ!それまだ使うんだよ!…アンタも言っただろ!その悪臭のお陰で、スリが成功するんだよ…それにその臭いで奴等も近付かないし…」
文句を言うフィービーにサンドイッチを手渡し、リュカが力強く言葉を発する。
「もうスリをする必要は無い!もう脅えて暮らす必要は無い!…こんな国は僕が修正する!」
ラインハット
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