鷲尾須美は勇者である 再臨の章
第七話
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そんなこんながあった強化合宿も終わりを告げ、早数日が経ったある日の休養日。
蓮を抜かした3人の小学生は、白鳥家の近くまで来ていた。
「基本的に蓮は学校が終わったらすぐに帰ってしまう」
「れーくん曰く、朝と夕方は畑を耕してるからとか〜」
「それが嘘か本当か、調査しにきました!」
「「いえーい♪」」
白鳥家の近くの畑の外で、銀と園子が小声で交互に言った後にハイタッチする様を見て、須美は呆れから溜め息を吐く。今は朝の6時半。なぜこんな時間に蓮の家の外に隠れるように居るのかと言えば、こんなことを銀が言い出したからだ。
『そういやアタシだけ私生活見られててズルい!蓮のも見に行くぞ!』
何故蓮なのか?と思ったが基本的に蓮の私生活は「謎」この一言に尽きる。
鍛錬をしている。畑を耕し、野菜を作っていると学校ではよく聞くが、実際にそれを見たことは誰一人として無い。
銀が気になるのも無理はないだろう。
そも、白鳥家の場所が場所なのもあり(白鳥家はかなり山の近く、銀の家のさらに先にある)あまり、というか須美は行った事すらない。白鳥家の訪問は今回が初めてである。
それに、友人としても彼のことを何も知らないのはマズくない?という銀の言い分ももっともだった。自分達はチーム。それなのにチームメイトの普段すら知らないというのはいささか問題でもあるだろう。
・・・決して邪な感情は無い、絶対にだ。
そうこうしてるうちに3人は白鳥家が持つ畑へと着く。銀と園子に急かされカバンの中から双眼鏡を取り出す須美。3人はすぐそばにあったトマト畑に身を隠し、蓮を探す。
「さてさてさ〜て、蓮はどこだ〜?」
「どこだどこだ〜?・・・あっいた」
「「どこ!?」」
「ホラあそこ、クワ持ってるよ〜」
園子が指をさす方向を銀と須美が向く。
そこには、作業着に着替え、クワを持って土を耕している蓮の姿があった。時折汗を手拭いでぬぐいながら、せっせと土を耕していく。
3人は何も言えずその姿を見ていた。しばらくすると休憩するのだろう、近くの木陰へと入って行った。
「本当だったね〜・・・」
「うん・・・なんかその、ごめんなさい・・・」
「私も何だか申し訳ない気持ちでいっぱいだわ・・・」
「・・・今日は帰るか」
「「賛成」」
真面目に畑を耕す蓮を見て、少しでも疑ってしまった罪悪感と申し訳ない気持ちで一杯になった3人はその場を後にしようとする。するとそこへ
「あら〜可愛らしい泥棒サン達?どこへカムバックするつもりなのかしラ〜?」
背後から声を掛けられ、青空に三人の絶叫が響いた。
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