第一章
[2]次話
仕方なかったけれど
アメリカアリゾナ州のワンデルセン夫婦は家族に犬を迎えようと思い子犬の里親を募集に応じて一匹の子犬を迎え入れた。
犬はシェパードにそっくりだったが。
「雑種か」
「そうらしいわね」
夫のピーターも妻のエヴァもその犬を見て話した、二人共子供達が独立してもう悠々自適の白髪の老人である。
「どうも」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「シェパードの子犬でも大きくないか?」
「そうかしら」
「気のせいかな」
こうした話をした、だが家族になったのだから。
夫婦でその犬、雄の彼をネオと名付けてそうして一緒に暮らしはじめた。ネオは二人によく懐いていたが。
それでもだ、ネオは随分とやんちゃで。
「躾をしてもあまり覚えないな」
「いつも元気でね」
「元気過ぎるな」
「お家にはすぐに戻るけれどよく脱走するし」
「それで他のお家の犬と遊んだりな」
「元気なのはいいけれど」
それでもとだ、妻は言った。
「中々躾を覚えてくれないから」
「ここは考えものだな」
「そうね」
こう話して動物センターで躾つまり調教をしてもらうことにしたが。
そこにいた調教師のマウレーン=オニール金髪で青い目で高い鼻と長身の彼はネオを見てすぐに夫婦に驚きの顔で話した。
「この子は犬じゃないです」
「えっ、犬じゃな」
「そうなの?」
「犬じゃないっていうと」
「この子は一体」
「オオカミ犬です」
犬でなくというのだ。
「狼と犬の間の子です」
「そういえば」
夫は言われてすぐに言った。
「犬は元々狼だ」
「ええ、狼を家畜にしたのが犬よ」
妻も言った。
「だからね」
「犬と狼は殆ど変わらないからな」
「猪と豚と同じね」
「ああ、だから子供も出来るけれどな」
このことは猪と豚も同じである。
「けれどな」
「それでもよね」
「ああ、けれどな」
「まさかネオがなんて」
「いや、アメリカには狼もいまして」
オニールも言ってきた。
「こうしたことは確かに有り得ますが」
「まさかネオがそうなんて」
「オオカミ犬なんて」
夫婦は呆然となった、そして。
オニールは二人に話した。
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