父よ、母よ、妹よ 中編
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及してやろうと思ったドクトルGだったがすんでのところで冷静になり、沸き上がる怒りを腹の奥に飲み込んだ。
それはショッカーの中でもトップクラスのタブーなのだ。下手に口にすれば自身が大幹部といえど命が危うくなる。
ドクトルGはヨロイ元帥からの侮辱と嘲笑に耐え続けることにした。
そしてすぐにドクトルGは察した。
恐らくはヨロイ元帥はライダーマンを殺すためにここに来たのだ。彼さえ消せれば、自身の失態を有耶無耶にできる。そうでなければわざわざ、他エリアまで出向いてテロリスト殲滅の指揮を執る理由がない。
(この奸臣が…。自身の保身の為に他エリアで起きたテロまで利用するのか…)
ドクトルGが憎悪を向けていることなどつゆ知らず、ヨロイ元帥は揚々と大首領に語りかける。
「私にかかれば愚かなレジスタンス風情なぞ、簡単に壊滅させてみせましょう」
『それは頼もしい。だが何か策があるのか?』
「勿論です。…おい、ドリルモグラよ、入れ」
ヨロイ元帥が合図を出すと再び、自動ドアが開いて1体の怪人が入室する。
ドリルモグラと呼ばれたそれは名前の通り、モグラの怪人だった。青色の皮膚に、頭頂部にはドリルが付いていた。
『その怪人は何だ、ヨロイ元帥?見たところヨロイ一族の者ではないようだが…、貴様の部下の一人か?』
「いえ、部下と言うよりは手駒です。コイツは元々はアンチショッカー同盟の者でしてね。北京をうろついていたのを我がヨロイ一族の者が攫い、改造手術を施したのです。今や、立派なショッカーの一員ですよ」
『ほう、用意周到だな』
ヨロイ元帥の言葉に大首領は感心して見せたが、ドクトルGはまたまた憤りを覚えた。
モンゴルエリアのスパイが断りも無く、他エリアで活動し、何の許可もなく人民に改造手術を行う。
それは言い換えれば他エリアの管轄と権利を土足で踏みにじっていることに他ならなかった。しかし、「テロを未然に防げなかった」という失態を犯したドクトルGには抗議はおろか、発言することすらその場の空気が許さなかった。
ヨロイ元帥は怪人の紹介を続ける。
「この怪人は同盟の中でもそれなりの地位に就いており、奴らの幹部にも簡単に近づくことができる数少ない人間です。こいつを使えば奴らのアジトを突き止め、ライダーV3らの息を止めることなど造作もないことであります。……なあ、そうだろう、黒田よ?」
「リィ〜ロ〜。ああ、その通りだ」
ドリルモグラはニヤリと笑うと人間態である黒田としての姿に戻った。
彼の右頬はつい先程、純子の平手打ちを受けたばかりなため、赤く腫れていた。
黒田はショッカーによって洗脳され、ドリルモグラに改造されて
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