父よ、母よ、妹よ 中編
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志郎が夜空に向かって嘆いていた、ちょうどその頃。
大ショッカー党北京支部は蜂の巣を突いた以上の騒ぎだった。V3に党大会を襲撃されたことは北京支部の面子を丸々潰されたと言っても過言ではない。
事実、他支部からはドクトルGの安否確認を兼ねた嘲りと憤りの電話がひっきりなしに掛かっていた。
その上に、北京支部に属する多くの党員が責任を取らされ、更迭されていた。
皮肉にも結城の言っていた通り、アンチショッカー同盟の今回の作戦はドクトルGの暗殺こそ失敗したが、ショッカーに打撃を与えるという点においては成功していた。
北京支部の極秘の地下空間では緊張した空気が張り詰めていた。
壁に備え付けられたサソリのレリーフの前に、治療を終えたばかりのドクトルGが跪いていた。
サソリのレリーフが赤々しく光る。レリーフからは大首領の怒気を孕んだ威圧的な声が響いた。
『ドクトルG!貴様は何をやっておる!?V3に党大会を妨害されておきながら、貴様は何も策を講じないつもりか!!』
「ハハー、大首領様!誠に申し訳ございません!!」
大首領から叱責を受け、ドクトルGはただ深々と頭を下げることしか出来なかった。
「とにかく早急にV3、そしてライダーマンを粛清してしまわねばならない。しかし、どうしたものか……」
ライダーマンはともかく、V3は最強クラスの改造人間。生半可な怪人を送り込んでも倒されてしまうのがオチだ。その上、どこに潜んでいるのかも不明だ。一応、旧中国内にいるという事は判明しているがいくら捜索しても一向に見つかる気配もない。
これにはさすがの大首領も手をこまねくことしかできなかった。
そんな中、ガァーと自動ドアが開いて1人の男が入室する。
赤銅色の全身甲冑を纏ったその男は地面に頭を擦り付けるドクトルGを見て嫌らしく笑った。
「フハハ、無様だな。ドクトルG」
何者かとドクトルGは顔を上げ、驚いた。嫌らしく笑っている彼はドクトルGと同じく、ショッカーの大幹部だったからだ。
「…ヨロイ元帥!!何故、お前がここに!?モンゴルエリアの統治者だったはずだ!」
「不甲斐ない貴様に代わって問題を解決してやろうと思ってな。モンゴルエリアの統治の方は秘書官に任せてきた」
ヨロイ元帥はドクトルGの前を悠然と通り去り、サソリのレリーフに跪いて、忠誠を顕にする。まるでドクトルGのことなど見えていないというような態度だった。
「大首領様、突然の訪問をお許しください。しかし、私めから1つお願いがあるのです」
『願いだと?何だ、言ってみろ』
大首領だけでなく、ドクトルGまでもヨロイ元帥に耳を傾ける。ヨロイ元帥は
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