第二章
[8]前話
「それでお願いします」
「それじゃあな」
「またいらして下さい」
こう話してだった。
実際にメンドーサはセンターに何度も訪問してだった。
猫達を見た、そしてだった。
最初に腕の中に飛び込んできた猫にした、そうしてスタッフに話した。
「最初のインパクトがあったしな」
「腕の中に飛び込んできたので」
「それにずっと愛嬌よくて愛想もあったからな」
だからだというのだ。
「この子にするよ」
「わかりました、では」
「これからはな」
「その子とですね」
「家族だ、女の子だったな」
「はい」
そうだとだ、スタッフも答えた。
「このことは覚えておいて下さい」
「それじゃあな」
メンドーサは猫を抱きながら笑顔で頷いた、そうしてだった。
猫との生活に入った、猫はルナと名付けたが。
やはり愛嬌があり愛想もいい、そして。
メンドーサは自宅に来て猫の状況を聞きに来たスタッフにこう話した。
「ルナは窓から外を見るのが大好きなんだよ」
「景色を見てですね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「いつもな」
「楽しんでいますか」
「ああ、ご飯を食べるのも好きで寝るのも好きで」
「猫はよく寝ますからね」
「そのことも実感したよ」
ルナと一緒に住んでというのだ。
「本当にな」
「そうですか」
「ああ、そしてな」
それでというのだ。
「一番好きなのはな」
今二人が話しているテーブルの傍の窓のところにいてそうして外の景色を見ているルナを見つつ話した。
「抱っこされることなんだよ」
「あの時と一緒で」
「時間があったら」
その時はというのだ。
「僕の腕の中に飛び込んで」
「そうしてですか」
「抱っこしてくれだよ」
「そうですか」
「本当に甘えん坊だよ」
「そしてその甘えん坊がですね」
「最高だな」
こうスタッフに話した。
「だからこれからもな」
「ルナとですね」
「幸せに過ごすな」
「ニャア」
ここでだった。
ルナは実際にメンドーサのところに来てだった、腕の中に飛び込んできた。彼はそのルナを抱き締めて満面の笑顔になった。それを見るスタッフも同じく笑顔になった。
突然腕の中に 完
2021・3・19
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