第三章
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「幾ら何でも」
「熊が猫にご飯をあげる」
「親子なら兎も角です」
「種族も違うのに」
「そうするなんて」
「本当にだよ」
驚きのまま言うばかりだった。
「こんな光景ははじめてだ」
「想像も出来ないですね」
「本当に」
「これは」
「しかし」
ここでシモンズはこうも言った。
「これはいい光景だ」
「そうですね」
「想像していませんでしたが」
「猫を助ける熊なんて」
「こんなこともあるんですね」
スタッフ達もそんな二匹を見て笑顔になった、そして。
見ればオルトはいつもラルフに猫らしくちょっかいをかけた、悪戯をしたり軽く引っ?いたり甘噛みをすると。
「ガウ」
「ニャア」
ラルフは怒ったふりをしてオルトを追いかける、オルトは楽しそうに逃げる。
そうして遊んでいる、それが毎日のことで。
シドンズは周りに笑顔で話した。
「何時観てもいいものだ」
「そうですね」
「二匹はすっかり仲良しですね」
「友達同士です」
「種族は違いますが」
「それでも」
「こうしたこともある、なら彼等は」
ラルフとオルトはというのだ。
「これからもだよ」
「はい、仲良くですね」
「友達同士として暮らしていける様」
「私達も頑張っていきましょう」
「この保護区を整えていきましょう」
「そうしていこう、生きものは素晴らしい」
シモンズはこうも言った。
「そのことがあらためてわかった」
「全くですね」
「時には種族を超えて友情を育む」
「そうしたことも出来ますね」
「時としては人間を超えている」
シモンズは笑顔で語った、そうして自ら先頭に立ってセンターを充実させていった。そうしてラルフやオルトだけでなくそこにいるあらゆる生きものが幸せに暮らせる様に努力したいった。そしてその努力はかなり実った。
熊と猫の家族 完
2021・3・19
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