第二章
[8]前話
「私が食べる時も見守ってくれています」
「まさにパートナーですね」
「一番の親友です」
そこまでの存在だというのだ。
「本当に。ですから」
「これからもですね」
「旅を続けます」
「そうされますか」
「ウィローと。旅は適わず終わりますが」
リチャードもこのことはわかっていた、旅も必ず終わることを。はじまりがあるものは常に終わりがあるものだ。
それでもだ、リチャードは学生に話した。
「その時最高の結末をです」
「ウィローと一緒にですね」
「迎えるつもりです」
何の淀みもない顔で述べた。
「そのつもりです」
「そうですか」
「はい、そして」
彼はさらに言った。
「旅が終わってもウィローと一緒です」
「そうですか」
「私達の絆は旅をはじめる前からあり」
「旅で、ですか」
「より強く深いものになったのですから」
だからだというのだ。
「これからも」
「旅が終わってからも」
「一緒です」
「そうですか、その絆を知ることが出来て」
それでとだ、彼は話した。
「よかったです」
「そう言ってくれますか」
「このお話日本に帰ってからお話していいでしょうか」
リチャードに今度はこう言った。
「そうしても」
「はい」
リチャードは学生の願いに微笑んで答えた。
「どうぞそうされて下さい」
「それでは」
「こんなつまらない話でよかったら」
「つまらないなんてとんでもない」
学生はリチャードの今の言葉は全力で否定して言葉を返した。
「物凄く勉強になりますよ」
「そうですか」
「はい、ではこれからもですね」
「終わりはありますがこのままウィローと旅を続けます」
「ニャア」
ここでウィローも鳴いた、そうしてだった。
学生は日本に帰ると多くの人にこの話を知らせた、その話は忽ち日本にも伝わった。
人の猫の絆と旅、それはオーストラリアであったものだ。種族は違えど彼等は強い絆で結ばれ共に旅を楽しんだ。その話は聞いていても非常に心が温まるものであった。それ故にここにも書かれている次第である。
黒猫との旅 完
2021・3・17
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