第一章
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海辺のレストランで
ギリシアの海辺の街でのことである。
この時街で漁師をしているアンゴル=ニケイデス黒い縮れた短い髪の毛とはっきりした黒い目に一八〇近い筋骨隆々の身体つきの彼は仕事が終わった後なのでレストランで食事を楽しんでいた。そのうえで。
店の馴染みのウェイターと笑顔で話していた。
「最近いい魚が入るな」
「ええ、大漁でしかも」
「美味いのがな」
「お魚もいいですし」
ウェイターも応えて言った。
「貝や烏賊や蛸も」
「どれもな」
「質がいいですね」
「海老だってな」
その海老料理を食べつつ応えた。
「いいしな」
「それで今ですね」
「こうして食ってるな」
「そうですね」
「あと頼んでおいたな」
「はい、魚料理ですね」
「それも頼むな」
「もうすぐ出来ます」
ウェイターは笑顔で応えた。
「ではその時に」
「いただくな」
「楽しみにしておいて下さい」
「そうしておくな」
アンゴルは魚介類に合う白ワインを飲みながら応えた、そうしてだった。
その魚料理も楽しんだ、そうして満足してまた白ワインを飲んでいたがふとだった。
気配がしたのでテーブルの上、自分の左手のところを見るとだった。
そこに猫の手があった、ダークグレーと黒の虎毛の右の手だった。その手がそうっと前に出て来て。
魚の骨を取ろうとしていた、それを見てだった。
アンゴルは手の先を見た、するとそこには。
耳が立った手と同じ毛並みの猫がいた、黒目がちの目が大きい。
その猫にだ、アンゴルは言った。
「お前腹減ってるのか?」
「ニャ?」
「骨は食いでがないだろ」
こう猫に言った。
「だったら俺のとこ来い」
「ニャア」
「店の奴には俺が話しておく、だからどうだ」
「ナア」
猫はそれならという顔で応えた、そしてだった。
アンゴルはウェイターに話して猫を確保してもらい。
そうして食事を終えると猫を抱いて家に帰った、そのうえで妻のデメテル茶色い長い髪の毛で青い目の小柄な彼女に言った。顔立ちは童顔だが胸はある。
「レストランで俺が食った魚の骨取ろうとしてきた」
「そうだったの」
「相当腹が減ってるな」
「それでなのね」
「ああ、こいつを腹一杯食わせたくなってな」
「うちに連れて来たの」
「魚なら幾らでもあるだろ」
うちはというのだ。
「漁師だからな」
「ええ、売りものにならないお魚なんてね」
「幾らでもあるからな」
「加工に回しても」
「余ってるしな」
「そうしたお魚もあるし」
「だからな」
それでというのだ。
「こいつはこれからな」
「うちでなのね」
「たらふく食わせてやるか」
「飼うのね」
「そうしてやらないか」
「
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