第一章
[2]次話
クレタでの出会い
オランダ人キアラ=オランジは今は旅行でギリシアのクレタ島に来ていた。金髪碧眼で背は一八〇近くありすらりとしている。
その彼が現地のガイドさんにこう言われていた。
「この島がギリシア文化の発祥でして」
「歴史ある場所ですよね」
「神話にも出てきますよね」
ガイドさんは笑って話した、キアラを案内しながら。
「この島は」
「ミノス王ですね」
「ミノタウロスもいましたね」
「そうでしたね」
「あのラビリンスもご覧になりましたね」
「はい、まさに地下迷宮でしたね」
「他にも案内させてもらった通りにです」
まさにというのだ。
「この島は遺跡の宝庫でして」
「それで、ですね」
「観光をされると」
「飽きないですね」
「そうした場所です、お料理も美味しいですしね」
「オランダときたら」
キアラは笑って話した、動きやすいズボンとブラウスという恰好がそのモデルの様なスタイルに実によく似合っている。
「食べものは」
「よく言われますね」
「はい、ですからここのお料理も」
それもというのだ。
「楽しんでいます」
「そうですか」
「はい、お酒も」
「ワインもですね」
「楽しませてもらっています」
料理に加えてというのだ。
「非常に」
「それは何よりです、では」
「はい、これからもですね」
「楽しんで下さい」
「そうさせてもらいます」
こう話してだった。
キアラはガイドさんの案内を受けて島の中を観光していった、その中で。
道の真ん中に一匹の茶色の中型犬を見た、その犬はというと。
「随分痩せていますね」
「はい、しかも背中がが曲がっていますね」
「随分腫れていて」
「後ろ足はびっこをひいていて」
「これは」
キアラはその背中と後ろ足を見て言った。
「背骨折れているんじゃ」
「そうみたいですね」
ガイドさんもその犬を見つつ応えた。
「この子は」
「だとすると大変ですね」
「この子はどうして生きているのか」
「これから生きられるのか」
「わからないですね」
「クゥ〜〜〜ン・・・・・・」
犬は弱々しく鳴いて近くの廃墟に入った、キアラはそれを見てガイドさんに言った。
「観に行きませんか?」
「あの子をですか」
「あんな怪我をしているので」
それでというのだ。
「放っておけないですよね」
「そうですね」
ガイドさんはキアラのその言葉に頷いた。
「あんな怪我をしていてしかも野良なら」
「何時どうなってもおかしくないですね」
「はい」
その通りという返事だった。
「これは」
「ですから」
それでというのだ。
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