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戦国異伝供書
第百二十八話 僧籍の婚姻その十

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「そうした者達ではないのか」
「天下を乱す」
「そうした者達ですか」
「そうも思われますか」
「その実は」
「拙僧が思うだけであるがな」
 根拠はないというのだ。
「そうも思う」
「ううむ、では尚更ですな」
「あの者達には加わらず」
「石山を守るだけで」
「それでよいですか」
「我等は」
「それがよい、そして織田殿とはことが収まれば」
 戦が一段落すればというのだ。
「和をな」
「結びますか」
「戦に入っていますが」
「それでも」
「そうしよう」
 こう言ってだった、顕如は石山の守りを固めさせたが門徒達には動くなと言った。その間のブナがは大軍を率いて伊勢に近江、越前、加賀、紀伊と転戦し。
 一向宗の門徒達を文字通り撫で切りにした、これで門徒達は減った筈だが。
 各地から来た者達の話を聞いて顕如はまた首を捻った。
「何十万も殺されたのにか」
「はい、どの寺でもです」
「門徒の数は然程減ってはおりませぬ」
「何万も殺された伊勢長島でも」
「そして越前でもです」
「徹底的に殺された筈ですが」
「それがです」  
 報を届ける者達は顕如に口々に言った。
「門徒達は減っておりませぬ」
「これといって」
「おかしなことじゃ」
 まさにとだ、顕如もその話を聞いて言った。
「どう考えてもな」
「有り得ませぬな」
「一揆を起こした者は合わせて何十万といいまする」
「織田家はその全てを撫で切りにしました」
「そして何十万も殺した筈ですが」
「何故門徒は減っておらぬのか」
「筋が通りませぬな」
「どうにも」
「うむ、これは何かある」
 間違いなくというのだ。
「やはりな」
「左様ですな」
「そうとしか思えませぬな」
「これは」
「何かありますな」
「何十万もの数は何処から出た」
 そもそもというのだ。
「一体な」
「そこもおかしいですな」
「それだけの数の者が」
「我等一向宗は確かに多いです」
「相当な数の門徒達がいます」
「ですが」 
 その彼等でもというのだ。
「しかしです」
「それでもですね」
「何十万ともなりますと」
「それではですね」
「我々としても」
「相当な数ですから」
「そこまでの者が殺されるとな」
 それこそとだ、顕如は述べた。
「流石にな」
「我等でもです」
「大変なことです」
「そこまでの命が失われると」
「とんでもないことですが」
「何故ほぼ減っておらぬ」
 その門徒達がというのだ。
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