第三百二十九話
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第三百二十九話 勝負の前に
時は流れ勝負の日となった、カーミラは戦を前にして使い魔達に優雅な微笑みを浮かべそのうえで言った。
「お風呂は終わってからよ」
「入られますね」
「その時に」
「そうされますか」
「ええ、戦いの埃を落とすわ」
その戦いの後でというのだ。
「そうするわ、ただ戦の前にはね」
「己を飾るものですね」
「それが貴き者達の振る舞いですね」
「身だしなみを整えることも」
「そうよ、だからね」
そうした考えだからだというのだ。
「ここはね」
「はい、お風呂は戦いの前ですが」
「それでもですね」
「戦いの前なので」
「それで、ですね」
「ドレスを着てね」
豪奢なそれをというのだ。
「そして香水もね」
「付けられますか」
「お身体に」
「そうされますか」
「ええ」
そうするというのだ。
「これからね」
「わかりました、それではです」
「これよりですね」
「見事なドレスを着られ」
「香水を付けられますね」
「そうするわ、ドレスはこの前買った紅のものよ」
それにするというのだ。
「あの舞踏会に着ていくものをね」
「わかりました」
「ではドレスはそちらに」
「履くものも合わせます」
「他のものも」
「下着やストッキングもお願いするわ、そしてね」
カーミラはさらに話した。
「アクセサリーは黄金のものをね」
「はい、それで統一します」
「全てお任せ下さい」
「そうしたものも」
「ではね。そして香水は薔薇よ」
こちらにするというのだ。
「いいわね」
「わかりました、では」
「そちらを用意します」
「香水は」
使い魔達も頷いた、そうしてだった。
彼等は実際に香水も整えた、そのうえで主を飾った。カーミラはまるで舞踏会に行く様な優雅な姿になって夜の神戸の街に出た。戦いに行く為に。
第三百二十九話 完
2021・1・1
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