燃え盛る焔《ほむら》
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ハルトは動けないでいた。
だが、謎の戦士は続ける。
「それは貴様が持っていいものではない」
「はあ? だったらお前は持ってていいのかよ? みなまで聞いてやるから言いやがれ!」
「……ふん!」
「ハルト!」
謎の戦士の答えは、剣の振り上げ。ハルトが思わず目を伏せ、その前にビーストが盾になるように割って入る。
だが、謎の戦士の刃はハルトを切ることはなかった。
恐る恐る見てみれば、彼の腕はキャスターに掴まれていた。
「キャスター」
「……貴様……」
謎の戦士はキャスターをギロリと睨む。
いつのまにハルトから取り上げたのやら、キャスターの左手には、恐竜の石が握られていた。
「収集」
キャスターの傍らの本が開く。すると、恐竜の石は、そのまま本の中へ吸い込まれていった。
「貴様!」
彼はそのままキャスターの手を振りほどき、彼女へその刃を突き立てる。
だがキャスターも、同時に手のひらを謎の戦士の顔面に突き付けた。
「……」
「……」
それぞれの攻撃が、互いの顔面手前で静止する。
キャスターの手には黒い光が発射される状態になっており。
謎の戦士の刃先が、キャスターの髪を切り落とす。
互いの沈黙がしばらく続き、やがて謎の戦士は、その刃を収めた。
「ふん」
紫の光とともに、彼は元の青年の姿に戻る。
「止めだ。そのダイナソーのオーパーツは、くれてやる」
「ど、どうして……?」
青年はハルトを無視し、背を向ける。
「いずれそれはオレが取り戻す。その時に決着は付けてやる。覚悟しておけ」
「ま、待って!」
去ろうとする青年へ、ハルトは重い体を引きずりながら叫ぶ。
「お前は、一体何なんだ!?」
その問に、青年は振り返る。
その冷たい眼差しで、彼は言った。
「オレの名はソロ。次に会うその時まで、覚えておけ」
ソロ。
独り。その名前に違わぬ精神の持ち主は、そのままジャンプして、姿を消した。
ただ、彼が飛び去って行った方向を、ハルトは必死に睨み上げていた。
「ソロ……きっと、アイツが……キュゥべえが言ってた、最悪の敵……」
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