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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第102話『予選G』
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に、晴登はそれだけを意識した。



「──三浦君、止まって!」

「……はっ!」


ふと、そんな声が聞こえた気がして顔を上げると、もうそこには茨はなかった。そうか、森を抜けられたのか。良かった。なら止まらなきゃな。


「着地!……って、おわぁ!?」

「三浦君!?」


しかし、ジェットのスピードを侮っていた。これだけ速く進んでいるのに、いつも通りの着地などできるはずがない。
晴登が地面に向けて風を放った瞬間、バランスを崩して身体が弾かれたように上空へと打ち上げられてしまった。


「うぐ、気持ち悪……」


風の勢いのせいで空中でグルグルと回転する晴登。魔力が残り少ないのも相まって、めちゃくちゃ気分が悪い。でも着地しないと……あれ、地面はどこだ? あ、目の前にあるじゃん──


「よっと!」

「わぷ!?」

「大丈夫?! 三浦君」

「は、はい。助かりました……」


地面に激突するすんでのところで、またもや風香にキャッチされる。でも今のは本当に死ぬかと思った。風香様々である。


「すいません、迷惑ばっか、かけて……」


息も途切れ途切れにそう伝えると、風香は首を振る。そして微かに笑みを浮かべると、


「正直、君がここまでやれるとは思ってなかった。友達の後輩ってことでおせっかいしてたけど、きっと私の力がなくても上位を目指せてただろうね」

「そんなこと……」

「私がしたのはアドバイスとカバーだけ。実行してついて来れてるのは君の実力なの。今の順位は30位。君の歳からすれば本当に凄いよ」


怒涛の褒め言葉に晴登は何も言い返せず、恥ずかしくなって俯いた。冷静で他人に興味のないクールな人かと思っていたが、むしろ風香は人のことをよく見ているし、毎回的確なアドバイスをくれる。

──やはり、この人が適任だ。


「あの、一つ訊いても……いいですか?」

「何?」

「俺の……師匠になって、くれませんか?」


風香は驚いた顔をした。当然だろう、ボロボロになったこの状況で吐くセリフではない。
それでも、晴登は今伝えなきゃいけないと思った。すると、


「──ふふっ」

「……!」


風香が今まで見た中で一番の笑みを零した。あまりに意外だったので、思わずこっちも驚いてしまう。
それに気づいた風香は手を振って、


「いや、違うの。ごめん。まさかそんなことを訊いてくるとは思わなかったから。師匠……なるほど。悪くないね」

「それじゃあ……!」

「いいよ、なってあげようか。君の成長をもっと見てみたいと思っていたところだもの」


そう言って、再び風香は笑ったのだった。


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