第102話『予選G』
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"光銃"っ!!」
伸太郎の指先から放たれた一線の閃光が瞳に向かって迸る。そして──瞳孔の鏡に直撃した。
「よっし!!」
伸太郎がガッツポーズを取ったのと同時に、鏡によって反射された光が上へと伸びていく。その光はちょうど、伸太郎の真向かいにある扉へと当たった。
「ビンゴだな」
階段を駆け上がり、その扉の前まで向かう。
いざ開けるとなると少し緊張したが、時間もないのでさっさと進むことにする。さすがにこれで何もないなんてことは──
「……は?」
扉を開けると、なんとそこには青々と茂る林と澄み切った青空が広がっていた。
*
間欠泉地帯を抜け、自分の足で再び走り出した晴登。恥ずかしい思いはしたが、風香のおかげで順位を40位まで上げることに成功した。この調子なら予選突破も夢ではない。ただ、
「はぁっ……はぁっ……!」
「相当息が上がってるね。大丈夫?」
「大丈夫……です!」
嘘だ。全然大丈夫じゃない。
初めにも直面した問題だが、やはり晴登には体力が足りないのだ。抱きかかえられている間に休めたとはいえ、魔術を使って走り続ければすぐにバテてしまう。
それでも、足を止める訳にはいかない。この背中に背負ってるものの重さを考えれば、これくらいでへこたれてはいけないのだ。
「うん、やっぱり君のそういう所は嫌いじゃない」
「それは……どうも!」
風香が口角を上げるが、晴登にはそれに笑顔で応じる余裕はない。やらなければいけないとはいえ、キツいものはキツいのだ。今は彼女の背中を追いかけるだけで精一杯である。
「……さて、どうやら次の関門みたい」
「次って……道がないじゃないですか」
そうして辿り着いた次なる関門だったが、なんと行き止まりだった。正確には、森が立ち塞がっていて、道が途切れている。しかもその森というのが厄介で……
「これ、まさか全部茨ですか?」
「文字通り、茨の道ってことかしら」
「笑えないんですけど……」
なんと、森を構成する全ての植物が茨だったのだ。辛うじて人が通れそうな隙間は残されているが、それ以外は針山地獄と相違ない。迂闊に足を踏み込めば、切り傷じゃ済まないだろう。
そのギミックに恐れをなして、立ち往生する選手も目についた。しかし、それに構ってはいられない。
「いけ、"鎌鼬"!」
「へぇ、いい技使うね」
「よし、これで道を……ってあれ?」
通れないのなら通れるようにすればいい。そう思って、なけなしの魔力で茨に風穴を空けようとしたのだが、なんと切り裂いた数秒後には茨が伸びてその穴を塞いでしまった。間違いな
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