第102話『予選G』
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とはいえ、天井が山の頂上直下にあるとしても、あの調子なら数分で天井には届くはず。考える猶予はそこまで残されていない。
「考えろ! 目……目……ひらがな、カタカナ、英語……は関係なさそうだな。なら暗号じゃあない。じゃあ迷宮を人体と考えて、この目の位置から相対的にゴールへの近道を……って何言ってんだ。深読みしすぎだバカ。ダメだダメだ、もっと単純に考えろ。目といえば……『見る』だ。じゃあこの目は何かを見てる……? 視線の先は……天井か? 天井にゴールがあるってことか? いや、そんなことはとっくにわかってる。そもそもそれじゃ近道のヒントになってねぇ。じゃあ他に何を見るか……天井以外にこの空間にあるもの……扉? はっ、扉か?! 例えば、近道に続く扉を見てるとか?! ありえるな、十分にありえる。心なしか、視線が壁に向いている気がしてきた。けど……どれだ? こんだけ扉があるんだぞ。視線の先なんて、目で追ったってわかる訳ねぇ。もっとヒントはないのか。この目の瞳孔と虹彩のズレを計算……正確に計れないんじゃ意味ないだろ。角度も無理だし、あぁくそっ! わかんねぇ!」
つらつらと論理を組み立てていく伸太郎だったが、そこで躓いてしまった。この仮説が真である可能性はかなり高いのだが、如何せん目測では何もわからない。当てずっぽうで当たるほど扉の数も少なくないし、正直手詰まりだ。
「いっそ、目からビームでも出してくれりゃいいのに……」
あの瞳が銃のレーザーサイトのように光を発してくれればわかるというのに。伸太郎はそう嘆息して──
「目から……ビーム……?」
自分で言った言葉に引っかかりを覚える。
ハッとして瞳を見やると、その瞳孔がキラリと光った気がした。
「鏡……!」
なんと瞳の瞳孔部分は鏡だったのだ。周囲が似たような色調だったから、全然気づかなかった。
つまり、ここに光を反射してみればもしかして……
「本当は降りなきゃダメだろうけど時間がねぇ。光属性の魔術で助かった!」
階段を降りる時間がもったいないので、伸太郎は今いる場所から光を照らそうと試みる。もちろん、地上に届くまでに光が分散してしまうので、凝縮しなければならない。
腰を落とし膝を立て、指鉄砲を地面に向けて構える。この距離だと、ただの光弾では途中で霧散してしまう。だからそれよりワンランク、光量を増す必要があった。
「ふぅ……」
集中して狙いを定める。光量を増す代わりに装填速度が遅くなるので、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる作戦は通用しない。できれば、この最初の一発で決めたいところ。
大丈夫、シューティングゲームは得意な方だし、こんなシチュエーションも妄想済みだ。失敗する要素なんてない。
「当たれ!
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