第102話『予選G』
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、バレたら目立つなぁ……」
さすがにやりすぎたと思い、結月は領土を解除する。すると雪が瞬く間に霧散していった。
ただ、ジョーカーは気づいていないようだが、この元凶が結月だということに気づく人は気づいただろう。目立って敵を作るようなことはチームのためにもあまりしたくないのだが、バレてしまったらもうどうしようもできない。
「まぁ、どうにかなるか!」
バレたらその時はその時だ。晴登と一緒ならきっとどうにかなる。
そして腕輪を見ながら、結月は競技の成果に一人満足するのだった。
*
"迷宮"もいよいよクライマックス。(おそらく)ゴールまであと僅かというとこまで来た伸太郎だったが、チーム【花鳥風月】の花織に先行を許してしまっていた。
仕方なく階段を登って対抗する伸太郎だったが、ニョキニョキと伸びる蔓に乗った彼女には全く追いつかず、敗北を覚悟したその時だった。
「大きな、目……?!」
伸太郎は、階下の地面に巨大な瞳が描かれていたことに気づいた。さっきまではなかった……いや、地面にいたから気づかなかっただけだろう。
「何だ……? やけに気になる……」
床に模様が描かれていた。たったそれだけのことなのに、どうしてこうも動揺してしまうのか。まるで、何かを見落としているかのような──
「まさか……近道か!?」
ここで伸太郎は"迷宮"のメインギミックを思い出す。すなわち、『謎を解けば近道を進める』というものだ。
もしかすると、今回もそれに当てはまるのではないだろうか。よくよく考えてみれば、やはりゴールするために階段を登るか扉を全て開けるかなんて現実的でないのだ。むしろ、そこに近道の存在がない方がおかしい。
「だったらこの謎を解いて……!」
そして花織よりも先にゴールする。それが今の伸太郎の目標だった。
しかし、その壁は中々に高い。
「くっ……ヒントがこれだけってのもな……」
目。ヒントはそれだけだ。文字も記号も、辺りには存在しない。この模様一つで、一体何をどうしろというのか。
……もしかして、本当にただの模様なのかも……いや、その可能性は考えるな。
「さすがに最後は一筋縄じゃいかないってか。燃えてきたぞ」
伸太郎は久しく忘れていた感情を思い出す。
昔こそ解けない問題は多かったのだが、今ではどんな問題でも難なく解けるまでになってしまった。だからこそ、こうして答えの見えない状況に立たされるとワクワクしてたまらない。
「あの人が天井に辿り着くのも時間の問題。そこがゴールと仮定するなら、それがタイムリミットだ」
花織の蔦の伸びるスピードはそこまで速くはなかった。
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