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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第71話:戦闘で説得
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クターはそのまま右腕で変形・展開し、タービン型のナックルになった。
虹色の光がそのナックルに集束していき、十分にエネルギーが集まったと見るや響は拳を握り構えた。
「やっちまえ響!!」
奏の言葉を合図にしたかのように、響は跳躍すると腰の後ろのブースターでノイズの頭部まで加速した。
「これが私達の、絶唱だぁぁぁぁぁッ!!」
拳がノイズに放たれた瞬間、ナックルの縁の4つのブレードが展開し、ナックル自体が高速回転。膨大な絶唱エネルギーがパイルバンカーの様に撃ち込まれ、ノイズをあっという間に粉砕してしまった。
しかもそのエネルギーはノイズを殲滅するだけでは飽き足らず、虹色の竜巻となって天に上り空を美しく彩り、天高くに舞い上がっていった。
それは当然ライブ会場の外からも見る事が出来、会場から離れたマリア達の目にも届く事になる。
「なんデスか、あのトンデモはッ!?」
「綺麗……」
「こんなバケモノもまた、私達の戦う相手……くッ」
虹色の竜巻を見て、思い思いの感想を抱く3人の装者達。
そんな中、ソーサラーは1人竜巻ではなく歯噛みするマリアを見つめているのだった。
***
その光景を見ていたのは、マリア達だけでは無かった。
ライブ会場から離れた駐車場に停まっている特殊車両。複数のモニターが供えられたその車両の中で、車椅子に座った老婆がモニターの一つに移るその光景を見ていた。
暫くそれを眺めた後、老婆は別のモニターに目をやる。そこには赤子の様な何かが映っており、『complete』と言う表示が光っている。
それは奏達の絶唱により放たれたフォニックゲインで起動した聖遺物。
「フッ、夜明けの光ね……」
満足そうに口元に笑みを浮かべる彼女こそ、通信機越しにマリアに指示を出していたマムと呼ばれる人物であった。
彼女は、事態が自分達の望む方向へと進んでいる事に喜びを隠せずにいた。
それを後ろから眺めている者が居た。特徴的な帽子に、ポンチョを羽織った人物。ライブ会場の舞台裏で、アルドを叩きのめしたジェネシスの幹部である。
彼は車内の暗がりからマムとモニターを見て、喜びとは別の意味合いを感じさせる笑みを浮かべていた。
その笑みが何を意味しているのかは分からない。だがもしこの場に颯人が居れば、まず間違いなくこう考えただろう。
こいつは絶対碌でもない事を考えている…………と。
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