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モンスターハンター 隻腕のドルフ
第五話 蛇
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ユニに指名されたドルフは、その隙を逃さず、大剣が届く範囲まで高度を落とした三匹のガブラスを、続け様に斬り裂いていった。

 ガブラスの弱点は、的にしては大きすぎる、巨大な翼。そして、皮膚の柔らかさ。ひとたびハンターの攻撃射程圏内に入ってしまえば、その鋭く重い一撃を防ぐほどの耐久力はない。

「ラッセル、左方二匹!」
「了解!」

 続けて、ユニがラッセルの左方にいたガブラス二匹の翼膜を撃ち抜く。ドルフと同じように、高度を下げたガブラスに、ラッセルは長大なランスを突き立てた。

 ラッセルの戦闘スタイルは、一言で表すならば『堅実』。一撃必殺を狙わず、ガブラスが再び飛び立てないよう、二匹の翼膜を先に貫いていた。

 ドルフからすればまどろっこしいやり方だが、確実だ。地に落ち、飛び立てなくなったガブラスは、ハンターにとって敵ではない。飛行性能が高いガブラスは、反面、脚部の筋肉が著しく退化している。地上ではまともに動くこともできず、起き上がることもできない。

 地に落ちたガブラスの頭部に、ランスを突き立てるラッセル。これで、五匹。群れはあと半分だ。

「ドルフ、左方二匹! ラッセル正面一匹!」

 指示が下る頃には、既にガブラスは怯んでいる。元々ボウガン使いだったとは言え、現在は双剣に鞍替えしているユニ。それでも尚、これだけ精密な射撃ができるのは、流石は上位ハンターといったところである。

 感心するドルフをよそに、ユニは再度弾薬の装填を始めた。ボウガン使いにとって、最も隙が大きくなる瞬間。それは攻撃中でも、移動中でもない。弾薬の装填中だ。弾薬ポーチや弾薬ベルトから、必要な弾薬を取り出し、ボウガンに装填する。この一連の動きが終わるまで、どうしてもハンターは無防備になってしまう。

 故に、ボウガンを扱うハンターは、戦闘中は常に、全方向に気を張り巡らせていなければいけないが……今回は、そのために護衛がいる。


「続けてくれ」


 飛来するガブラスの気配に気付き、咄嗟に装填を中断しようとするユニ。そんな彼女に、リエンがそう言葉をかけた。

 ユニの側方に回り込み、迫るガブラスの鋭い尻尾を、左手に携えた小さな盾で防ぐリエン。彼はそのまま攻撃を受け流すと、あろうことか、左手で尻尾を掴んで、力いっぱい地面へ叩き付けたのだ。

 ガブラスも予想していなかった行動。ラッセルやユニは特に反応していなかったが、ドルフはこの動きに思わず目を丸くしていた。

(……あの性格で、えらくパワフルな戦い方をするな)

 これは彼の仲間もよく知ることだが、一番堅実そうに見えて、一番豪快に戦うのがリエンという男である。時には、高所からモンスターの背中に飛び乗り、片手剣で背中から滅多刺し……といった戦闘スタイルも披露する。

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