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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
分かたれた家〜ティアマト民国〜(下)
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てるタロットを事務総長が遮る。
「‥‥‥議長、議長」「なんだね」
打って変わって冷ややかな目で事務総長を見る。彼はハト派として民生優先を唱えている、アリシア達にとっても政敵であるが――自治領の連合であるのならば無碍にもできない。彼も同じく帰郷連合に理解を示すことも少なくないし、民生優先には他自治領のことも含まれている。
「君はティアマトのブランドと呼称するのがそんなに嫌なのかな?
それならばこのティアマト民国参事会も気に食わないだろうな、それなら私は君の精神的苦痛をおもんばかり――」
頬を吊り上げ、声色が徐々に挑発的になってゆく。ティアマト帰郷連合の面子すら穏健派が露骨に顔をゆがめる程に攻撃的で排他的なモノが顔を出しつつある、
アリシアをはじめとする政治家達はそれだからこそ、彼は4年の任期をまもなく終えるというのに”議長”と呼ぶことにいまだに違和感を感じるのだ。ティアマト民国は自治領の連合であり政府参事会は党派を問わず自治領の合議により運営されるべし。それは実態に沿った不文律である。
二大政党議員は”ティアマト民国”の重みの軽重で異論があろうとも自治領の重さを軽視することはない、この男を除いては――。
アリシアが咳払いをした、さすがにこれを続けているとティアマト帰郷連合全体の問題になりかねない。
アリシアは”ティアマト民国”の代表として上院に席を連ねている以上、ティアマト民国としての枠を重視するがそれと自治領の代表を”排除”しようとすることは話が違う。
「議長、よろしいでしょうか。事務総長は私の報告に時間がかかると申し上げたいのだと思いますが――」
タロットはにこやかな顔に戻り、アリシアに鷹揚に謝罪した。
「あぁ、そうだった!すまない、すまない!それでは諸君らにアリシア同盟弁務官から―」
アリシアはため息をついた、これで大衆と財界からの人気が絶大だから性質が悪い。さて来年の最高評議会議長選挙、下院選挙に合わせて行われる我々の元首選、この男はどうせ二期目を狙うだろう、その頃までに落ち着けばよいのだが――
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