131 それぞれの気持ち
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りえは祖母の家に帰った。
「只今」
「りえ、お帰り」
母が出迎えた。
「杉山君って子とはどうだった?」
「また喧嘩しちゃったわ。それにかよちゃんにも当たりが強かった・・・」
「そうだったの・・・」
りえはいくら喧嘩したとはいえ、それでも杉山が心配でたまらなかった。
(本当にこの先、大丈夫なのかしら・・・?)
だが、りえにはかよ子達の他、長山治に冬田美鈴といった仲間もこれからの戦いに参戦してくれると思うと少し味方が増えてくれたようで大丈夫かもしれないと自信が持てていた。
翌日、この日は成人式という事もあり、袴姿の男女が歩く姿が見られた。
(りえちゃん、今日、帰るのか・・・)
かよ子はりえの事を考える。しかし、夏休みの時のような哀愁に漂うような事はなかった。
(異世界で、一緒に戦おうね、りえちゃん・・・!!)
一方、りえは帰るための荷造りをしていた。
「それじゃ、おばあちゃん、またね」
その時、一台の車が停車した。
「おはようございます」
山田家の隣に住むおばさんだった。その甥もいる。
「折角なんで駅まで送りますよ。健ちゃん、荷物運び手伝ってあげて」
「はい」
三河口はりえ達の荷物を持ち、車のトランクに入れた。
「ところでりえちゃん」
「え?」
「昨日、杉山君に会いに行ったんだよね?」
「あ、うん・・・」
りえは少し沈んだ表情だった。
「どうやら喧嘩したようだね」
三河口はりえの表情から察した。
「ええ・・・」
「君にまで当たるなんて相当ムシャクシャした気持ちになってんだな。だが、杉山君はきっと本当は大野君が転校する事で素直になれずに喧嘩したんだと思うよ。本当は寂しがっているはずだよ」
「でも、私も、『臆病者』呼ばわりしちゃったわ。異世界に行くか行かないかって私が聞いたら『ほっといてくれ』って言われたから私もカッとなっちゃって」
「『臆病者』ね・・・。ま、杉山君の事は俺やかよちゃんに任せておいてくれよ。何とか大野君と仲直りさせるようにしておくからさ」
「ええ」
安藤家の人達は奈美子の車に乗った。
「それじゃ、さようなら」
「さようなら」
三河口は同乗せずにその場で見送った。
(杉山君め・・・。大野君と喧嘩したままでいいのか?そのままで異世界へ向かえるのか?)
三河口は居候の家へと戻る。だが、その前にかよ子の家へ立ち寄った。
杉山は昨日の事を思い出した。
(なんであいつ、俺の前に出やがったんだよ・・・!!)
杉山はりえの言葉を思い出す。
《結局アンタは友達がいなくなるのが嫌で喧嘩したんでしょっ!?》
(俺は確かに大野がいなくなるのが寂しかったからあんな事言っちまった・・・。じゃ、お前に何ができるんだよ・・・)
杉山は手放してしま
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