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モンスターハンター 隻腕のドルフ
第四話 出立
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 普通ではない雰囲気を察したのか、バークは談笑を中断し、ドルフのもとへ駆け寄ってくる。

「前に話した、塔の調査の依頼。やはり、俺が行くことになった」
「なにぃっ!? いつからだ!」
「明日の朝には村を出る。一応、話しておこうと思ってな」

 若干怒声の混じった声で、バークはドルフに詰め寄った。肩を揺すられながら、ドルフは表情も変えずに、言葉を続ける。

「明日って、そりゃまた突然だな……お前一人か?」
「いや。応援に来たハンター三人とパーティを組む。さっき顔合わせをしてきたところだ」

 そこまで言うと、漸く、バークは力を抜いた。半ば予想していたことだったからか、彼は大きなため息をこぼすと、カウンターに手をつき、身を預けた。

「そうか……やっぱり、お前が……」
「本来なら四人パーティだったはずが、怪我で一人動けなくてな。ソロの俺にお声がかかったってわけだ」
「今からじゃ、新しい装備を仕立ててやるのは無理だな。ツケといてやろうと思ったが」
「いいさ。帰ってきた時でな」

 新しい装備を作るためにはそれなりの時間が必要になる。夜明けまでの数時間程度では、到底不可能だろう。残念だが、バークその逞しい商魂は、別の機会に活かしてもらうとしよう。

 しかし、タダでは折れないのがバークという男。彼はカウンターを強く叩き付けると、『よしきた』と声を荒げた。


「それなら、せめて装備『全部』預けてけ。朝までに完璧な状態にしといてやる」


 工房から、『ええっ!?』という叫び声や、悲鳴が聞こえた。残念ながら、彼らの親方のスイッチは、既に入ってしまったらしい。

「ツケ、か?」
「当然だ。帰ってきて、しっかり払え」

 バークは、危険な依頼に挑むハンターに『ツケ』で商売を持ちかけることが多い。それは、その商魂逞しさとは別に、ツケにしておくことで、そのツケを払うために何が何でも『生きて』帰ってこい、という彼なりの激励の意もある。

 嫌な気はしない。ドルフは困ったように首を振ると、『参った』、とでも言うかのように、両手を小さく挙げた。

「分かった。すぐに持ってくる」
「おう。お前ら、聞いたな!? 今日は徹夜だ!」

 親方のその理不尽な指示にも抗えない。弟子達に対して、少しだけ罪悪感を覚えながら、ドルフは工房を後にした。家には台車がある。そこに装備を全て乗せ、もう一度戻ってこよう。





??翌朝、弟子達三人が、干からびた死体のようになって力尽きている光景を、ドルフは見て見ぬ振りをした。


「……気を付けてな、ドルフ。油断すんじゃねえぞ」
「ああ。あの三人にも礼を言っておいてくれ。帰ってきたら、美味い飯でも奢ろう」
「そうか。伝えとくよ」


 そう言って
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