ムーの遺産
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「あれはムー大陸」
キャスターがハルトの横を通り過ぎながら言った。
ハルトは「へえ」と頷き、
「大陸にしては変な形じゃない? どっちかというと、UFOみたい」
「当然だ。ムー大陸は空を飛んでいたのだから」
「空!?」
ハルトはもう一度ムー大陸を見やる。
「大陸が空を飛ぶって……」
「それホントか?」
頭痛がしてきたハルトとは逆に、コウスケが復帰して目を輝かせていた。
キャスターは頷き、
「ムーの文明は、大陸そのものが移動要塞として、この世界のみならず他の世界をも支配の手を伸ばしていた。中には、ここのように崇めるところもあったのだろう」
「ほお……」
少しだけコウスケの目に光が戻った。
「なあ、少しムーのこと聞いてもいいか?」
話しが長くなりそうな二人を放っておいて、ハルトは明るくなる光源を探す。
それはすぐに、部屋の中央に見つかった。まるで展望台のように描かれた円の中心に、円筒状の台が設置してある。そしてその上には、恐竜の頭部のような形状をした石が鎮座していた。地下深くにも関わらずあふれ出る光源は、近づくだけでその熱が伝わってきた。
そしてハルトは、この石と似たものを見たことがある。
それは、先日博物館で展示され、狙われ、響が結果的に吸収してしまった代物。
「ベルセルクの剣と同じもの……」
「おい……オイオイオイ!」
コウスケが興奮した声で石に近づく。
「何だこれ何だこれ何だこれ!?」
コウスケは新品のデジタルカメラで何度も石の写真を撮る。そのまま部屋全体を撮影したコウスケは、室内に響く大声で言った。
「嘘だろおい、見滝原遺跡だぞ? 小学生がみんな遠足で来るところだぞ? なんでこんなムーの遺跡があるんだ?」
「ここはムーとは関わりが深かった。そういうことらしい」
キャスターが壁画を見ながら言った。
「かつての見滝原の民族は、ムーを崇めていたらしい。偉大なる恵を受けていたそうだ」
「恵?」
「ここに記載がある」
キャスターが壁の一か所を指さす。象形文字で記載されているそれは、キャスターには慣れ親しんだものなのだろうか。
キャスターはそのまま、書かれているものを読み上げる。
「『ムー。我らに知恵を授けたまえ。我らに光を授けたまえ。我らに繁栄を与えたまえ』
「へえ」
「それより、キャスター」
ほむらがコウスケを突き飛ばし、光る石を指さした。
「貴女が言っていた力って、これなのかしら?」
ほむらはキャスターに詰め寄る。彼女の顔が、鬼気迫るものになっていく。
「これなのよね? これで、力が手に入るのよね?」
その問いに、キャスターは頷く。
「これはオー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ